ASKA AUDIO アスカは、浅井和文氏がオーディオ愛好家として半世紀近くにわたり追求してきた理論・ポリシーに基づいた製品を開発・販売する目的で立ち上げた新進メーカーです。
その基本的な考え方は、音楽信号に付帯音として載る不要振動を防ぐこと、動くべき所だけが動いてそれ以外は微動だにしないこと。
これ自体は新しくもなく、むしろ基本中の基本ですが、浅井氏が独自のアプローチでそれを改善するためのひとつの手段として注目したのがマグネシウムでした。
マグネシウムも既にいくつかのメーカーがその物性を活かした様々なアクセサリー類を製品化していますが、アスカでは今までにない新しい製品の開発が進められています。

そうしたなかでレコード愛好家でもある浅井氏自身、最も欲していたのがレコードの外周部分に装着するアウターディスク・スタビライザーでした。

レコードの外周部分に載せるリング型のスタビライザーはこれが初めてというわけではなく、ご存知の方も少なくないと思いますが、４０年近く前に一度TRIO トリオから発売されたことがあります。
また現在でも独Clearaudio から同社プレーヤー専用の外周スタビライザーが発売されています。
ただ、素材はそれぞれ真鍮（トリオ）とステンレス（クリアオーディオ）。
アスカのAMG-1000 は純マグネシウム製というところが最大のポイントで、重さは３１５g しかありません。重量で押さえるのが目的ではないことが分かります。
もちろんこの重さでも、軽く反って外周が少し浮いたり、軽く波打ったレコードを平にするくらいの効果はあってそれも大切ですが、開発者の真の意図はそこではなく、マグネシウムという素材の特別に大きな振動吸収性を活かしてレコード針のトレースに起因する振動をはじめとするレコード盤の振動自体を低減しようというものです。

さて、どういった効果があるかは分かったものの、無数にあるプレーヤーの様々な形状のプラッターのどれにでも使える、汎用性はあるのか、という点が気になるはずです。店主もまずその点を浅井氏に尋ねました。

AMG-1000 はレコード盤の縁数ミリのところに被さる形状で、盤に被さる部分だけザグリが入れてあって薄くなっています。
ザグリがある部分の直径はレコード盤の直径のＪＩＳ規格＋０.５mm としてあり、ほとんどの盤がぴったりと嵌まり、ガタの無い絶妙な寸法としてあります。確かに盤によってピッタリだったり、わずかにザグリの方が大きい場合もあります（＊）。そんな時は僅かに指でずらしながらほぼ均等にAMG-1000 が載るように合わせますが、重量が軽いこともあって極僅かに偏芯があったとしても、回転に影響を与えることはありません。
＊メーカーの検証では、数百枚のレコードで試したところ、２枚だけ寸法のきつい盤があったそうですが、それも盤の周囲のバリを軽くカッターで落としたところ問題なく装着出来るようになりました。

ところで、ザグリを入れた盤に載る部分はごく薄くしなくてはなりません。そうしないと、再生を始める際に最外周の縁の部分に針を降ろすと、スタビライザーの縁にカートリッジの腹を擦ってしまうケースが出てきます。
それを避けるためにAMG-1000 では盤に載る部分の厚さを０.７５mm という薄さにしてあります。これは当初どの金属加工会社も不可能ということで断られたそうですが、ようやく１社だけ苦心の末、実現してくれたそうです。
これだけ薄くしても、マグネシウムは、アルミニウムはもちろん鉄よりも剛性が高いため、変形等の心配もありません。

レコード盤に被さる外側はほぼ盤と同じ高さで１０mm ほど水平に拡がり、その先で１０mm 弱下に下りた形になっています。従って３０cm 強の直径のプラッターには触れることがありません。これが汎用性を生むカギとなっています。
但し適合条件としては、プラッターの直径が３２０mm 以下であること、プラッターがプレーヤー本体から１０mm 以上立ち上がっていることが必要です。
例えば、ヤマハのGT-2000，デンオンの旧ダイレクトモーター・プレーヤー，テクニクスのSL-1200 シリーズなどには適合しません。

オーディオアクセサリー誌、紹介記事；
http://aska-audio.com/wp-content/uploads/2018/02/20190213%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%8F%96%E6%9D%90%E8%A8%98%E4%BA%8B%E6%9C%80%E7%B5%82aa168_214-215_3.pdf

サイズ： 外周φ350mm、内周φ295mm、高さ10mm 重量： 315g