店主日誌

SOULNOTE にお邪魔してきました

2017年12月01日

 



SOULNOTE ブランドを擁する(株)CSR 社にお邪魔してきました。
本社は神奈川県 相模大野にあります。これで2度目となりますが、今回は小田急線で向かいました。

お目当ては新しく発売となったフォノイコライザー・アンプ、E-2。同社の試聴室で聴かせて頂きます。
ご挨拶もそこそこに、着くとそのまま2階の試聴室(兼、音質検討室)へ。

ありました、ドーンと大型プリメインアンプと見紛うばかりのフォノイコ、E-2。威風堂々、これだけ立派なフォノイコはそうはありません。50万円の高級機ではありますが、それ以上の風格があります。重さも20kg あります。
設計者の加藤氏から細部についての説明や開発秘話などを伺い、いざ試聴開始。
因みに使用カートリッジはまず、お馴染みDENON DL-103、スピーカーはCSRが輸入する英PMC のMB2-SE。

聴かせて頂いたレコードは以下のとおり;

エヴァ・キャシディ/NIGHT BIRD
曲:AIN’T NO SUNSHINE

ビル・アヴァンス・トリオ/SUNDAY AT THE VILLAGE VANGUARD
曲:ALICE IN WONDERLAND

ブライアン・ブロンバーグ/WOOD
曲:COME TOGETHER

ラドカ・トネフ/FAIRYTALES
曲:THA MOON IS A HARSH MISTRESS

カール・ミュンヒンガー指揮 シュトゥットガルト室内管弦楽団
曲:ヴィヴァルディ「四季」~秋

小澤征爾指揮 パリ管弦楽団
曲:ストラヴィンスキー「火の鳥」~魔王カスチェイの凶悪な踊り

始めの3枚は加藤氏のお気に入り盤。
いずれもスカッと胸のすく音楽・録音で、設計者の意図が端的に理解出来る内容です。
とくに最初の2枚はライヴ収録なので、会場の雰囲気,空気感の再現が見事。

後半の3枚は営業・山神氏の盤。とくにノルウェイのヴォーカル、ラドカ・トネフは海外で調達した氏秘蔵の一枚ということで、初めて聴きましたが透明感ある少しひんやりした音色はいかにも北欧産。美しいジャケットもナイスで、このレコード欲しくなりました。

何のストレスもなくスピーカーから流れ出てくる音の奔流は、ソウルノート以外の何物でもありません。

実は今回、発売直前の新インテグレーテッド・アンプ A-2 (最終試作品)を組み合わせて聴かせて頂いたので、フォノイコE-2 だけではなく、このA-2 の功績も大きかったに違いありません。

クラシックもお願いします、とリクエストしたのに応じて取り出したるは最後の2枚。
ミュンヒンガーの「四季」はステレオ最初期1958年の録音。あの有名なイ・ムジチの四季と同時期(ミュンヒンガーが1年早い)で、両盤は日本の四季ブームの火付け役でした。

今回の盤はキングレコードの最初期ステレオ盤で'62年の発売。貴重なブルーバック・ジャケットです。
この頃は英DECCA が日本国内でのカッティング,マスタリングを許さず、英本国から直接送られたメタルマスターを使ってプレスされましたから、ビニールの材料以外は英国オリジナルと同等のプレスと言うことが出来ます。

かけてみると60年前の録音とは思えない生々しい音が飛び出してきましたが、少々高域寄りのバランスか? それならちょうど良いサンプルだから、試しにRIAA以外のイコライジング・カーヴを試してみましょう、ということになりました。

E-2 はフロントパネルの3つのノブで、Roll Off(高域減衰周波数)6種類,Turn Over(低域増幅周波数)4種類,Low Limit(超低域増幅制限)6種類をそれぞれを独立して変更出来るので、組み合わせでは何と144種類ものカーヴを作り出すことが出来るのです。
取説には3ページにわたり各レコードレーベルに対応したカーヴの適合表がありますので、これに従って3つのノブを所定の位置に合わせることで希望のカーヴ特性が得られます。

今回は試しにLONDON(DECCA の米国向けレーベル)の「LP」カーヴを試してみたところ、すっきり生々しくも聴き心地の自然なバランスとなりました、
このカーヴが合っているかは別にして、こうして自分の気に入ったカーヴで聴いてみるのもE-2 ならではの楽しみ方です。

小澤&パリ管の「火の鳥」は1972年のステレオ録音で国内プレス盤(ANGELレーベル)ですから、これは間違いなくRIAAカーヴ。パリ、サル・ワグラムの大きな(?)空間の感じられる録音を、大音量の箇所でも全く崩れることなく余裕をもって、フランスのオケらしいシャッキリとして鮮やかな音色で聴くことが出来ました。

以上は、先ほど申しましたようにDENON DL-103 で聴いているのですが、これが本当にDL-103?というくらいの再現です。

でもやはり上はありました。
E-2 のもう一つ大きな特徴が今話題のDS Audio の光電カートリッジを接続出来ることです。メーカーを超えた適合はこれが業界初の快挙です。
実はSOULNOTE とDS Audio、両者は同じ神奈川県の相模原市にあり、カートリッジは自転車で持って来てくれるそうです。カートリッジの出前なんて、世界でもここぐらい? 良い関係ですね。

さてカートリッジをDS Audio のDS002 に付け替えると、当然ながらさらに鮮やかで切れ込みもよく鮮明、光電カートリッジの特徴である低域の揺るぎなさ、などあらゆる点でハイスペックを感じるサウンドに深化しました。
でもこれ見よがしにHi-Fiをひけらかすことなく、演奏時の空気感,気配まで感じ取れる再現には敬服しました。
まさにカートリッジとフォノイコの目指すところが一致しているという印象です。E-2 を手に入れたなら光電カートリッジを組まないのは勿体ないな、と感じた次第。

ただ、光電カートリッジとの組み合わせではRIAAカーヴのみの再生となりますから、例えばモノラルとステレオ初期の盤では通常のMC,MMカートリッジを用いて場合によってイコライジングカーヴを調整、ステレオ安定期~現在の盤には光電カートリッジを使う、といった贅沢も良いのではないでしょうか。

とにかくレコード再生の可能性を積極的に追及する使い手にとって、これほど魅力的なフォノイコは、そうはありません。

それと先述のように新しいインテグレーテッドアンプA-2 がまた素晴らしいのは間違いないようで、これについてはさらに試してみたいと思います。

今後もSOULNOTE の上級シリーズから目が離せそうもありません。

帰りは山神氏のお奨め、「プラス410 円でロマンスカーに乗れますよ」に従って、町田⇒新宿間ではありますが、指定席にゆったり座って久方ぶりにロマンスカーの旅(?)をほんのひと時楽しむことが出来ました。

導入検討の方、試聴の手配も致しますのでご一報下さい。


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