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東京インターナショナルオーディオショウ2021、見聴き歩き

2021年11月05日

昨年は中止となり、今年は2年ぶりに東京インターナショナルオーディオショウが開催されましたので、早速初日の金曜日に行って来ました。
いつもは店主日誌の欄に載せるのですが、あそこは写真が小さいので今回はこちらでご報告。

今年は一番下の展示階である4階からスタート。




ROKSAN Attessa

ナスペック・ブースでちょっとしゃれたアナログ・プレーヤーを発見。
これから発売される新製品で、ロクサンのAttessa。サイドを丸く落としたデザイン、シンプルで凝った構造のトーンアーム、フォノイコも内蔵で価格は210,000円(税別)とリーズナブル。気軽に使えるエントリーモデルです。

国内の老舗、ラックスマンからは久々のハイエンドパワーアンプ M-10X が登場、早くもステレオサウンド・グランプリを受賞とのこと。
FOCAL Scala Utopia Evo を闊達、かつスッキリと鳴らしてさりげなく実力を発揮していました。


LUXMAN M-10X


ここで2時になったので予定のエアータイトブースへ直行。
予約制でプライベートイベントがあり(密を避けるため10人しか入れないので関係者のみの予約制に)、小原由夫氏の案内で取っておきの音源を楽しみました。

アンプはATM-2211J とATM-300R で、それぞれスピーカーはFRANCO SERBLIN Accordo Essence とAVANTGARDE Uno XD。特にATM-300R で鳴らすアヴァンギャルド(ウーファーは内蔵アンプによるアクティヴ型)の勢いのあるサウンドに惹かれました。




惜しくも昨年亡くなったデ・パラヴィチーニ氏のEAR では(ヨシノトレーディング)、まだ音出しは彼が生前組んだプロトタイプによっていましたが、300B 片チャンネル2本を(確か)プッシュプル駆動する新型パワーアンプを披露。
外観はモックアップの展示でしたが、息子のネヴィンによる均整の取れたデザインは魅力的です。
音はエネルギッシュで生々しい、いつものパラヴィチーニ・サウンド。
来年発売か??


EAR 300B Power Amp(下)


ステラの大きなブースでは今回も「ゴジラ」(店主の勝手な呼称)ことウィルソン・オーディオのフラグシップ Chronosonic XVX がデモの音出し中。席は満員、立ち見も多数。
システムの布陣もぬかりなく、TechDAS Airforce Zero アナログプレーヤー、HSE Masterline 7 フォノイコ、そしてプリとパワーアンプはギリシャの新星 YPSILON。
あれだけ大きくユニット数も多いスピーカーにもかかわらずピシッと焦点が合い、引き締まって聴こえるのはさすが、ウィルソンは2代目になっても健在なようです。

スイスのHSE では価格を抑えた(?)小型フォノイコの試作品も展示されていました。


Wilson Audio Chronosonic XVX


HSE Swiss フォノイコ・プロトタイプ


ギリシャEYPSILON のインテグレーテッドアンプ新製品


隣のディナウディオジャパン・ブースではハイエンド・スピーカー2モデルの聴き比べ。
一般的な広さのリスニングルームならサイズ感も手ごろなContour 30 で何の不満も無しですが、広い部屋があるのならフラグシップのConfidence 60 は別格。格の違いを見せつけますが、そこはディナウディオ、ちっとも偉そうには鳴ならないところが北欧の見識でしょうか。

また、大のレコード愛好家でもある案内役・中村氏のかけるレコード(CDはかけません)が他では聴けない熟練の選択ともいうべき内容で、分かる人は大いに楽しめたでしょう。ただ、決して曲の途中で針を上げないのでかなり長いのもあり、心して付き合うべし(笑)


DYNAUDIO Contour30/ Cofidence60


トライオードブースでは注目すべき2台の新型アンプが初お目見え。
ブラックの精悍な意匠をまとったEVOLUTION はKT88 をプッシュプル駆動する新世代インテグレーテッドアンプ。腰の据わった安定感あるサウンドを披露していました。これは頼りになりそう。
もう1台、トライオード・カラーのチェリー色が鮮やかなTRV-88XR は同じくKT88 をプッシュプルで鳴らしますが、バイアス調整機能を持つことで他の球も使えるところがミソ。地味ながら今後の人気機種になるでしょう。

そうそう、話題のウェスタンエレクトリック復刻版300B の販売元もトライオード。既に初回と2回目の入荷分とも売り切れの、大反響!


TRIODE EVOLUTION


TRIODE TRV-88XR


WESTERN ELECTRIC WE300B


国内メーカーのフェーズメーションは初参加。
大型送信管211 をパラシングル駆動する堂々たるモノラルアンプの試作機を参考出品していました。但し価格はペアで500万円は下らないとのこと。
完成した暁にはじっくりと聴いてみたいところです。


PHASEMATION 300B monaural power amplifier


最後にアイレックスブースを訪問、こちらも初参加です。
アナログに強い代理店ですからソースはレコード、Reed Muse 3C ターンテーブルにReed のアーム、ドイツ・テデスカのカートリッジで鳴らします。アンプはイタリア・オーディアのプリとパワー、フォノイコも参加出品ながらオーディア。これらの組み合わせは私どもでもたびたび試聴展示していますので、お馴染みですね。

スピーカーはイタリアのオーデル Audel 最上級機、Symphonica。
大き過ぎず程よいサイズのトールボーイで、ご覧のようにイタリアの作らしく木目を生かした暖かみある外観の通り、出てくる音も温もりがあり、どこか懐かしさを感じます。
硬い箱に硬いコーンのユニットを積んだ今様ハイエンドモデルばかり聴いた後では何故かほっとする響きで、トランスデューサーというより楽器を連想します。
音楽の国イタリアはシチリア産の得難い個性と言えるでしょう。

ターンテーブル周りではもうひとつ、大変ユニークな機器が。
ドイツ、デーレンヴィル社のベルトドライブ用汎用フォノモーターで、ベルトドライブ・プレーヤーに限らずダイレクトドライブ機でも、プラッターにベルトが架かりさえすれば、ほとんどのプレーヤーに使える高性能フォノモーターです。
元々はドイツでもいまだに人気のある旧マイクロ精機製プレーヤーのための新しいフォノモーターとして開発されたこともあり、今回はマイクロのRX-5000 ターンテーブルと組んでデモされていました。


AUDEL Symphonica


REED Muse 3C


DERENEVILLE DMS-5001


今回のショウは予約制にして入場者数を制限したことで、いつもほど混雑すること無く座ってじっくり聴くことが出来たのは大変有り難かったですが、つい長居してしまい、いくつか回りきれないブースがありました。
回ったなかでは、2年ぶりにしては今一つ目新しい目玉と言えるようなものに乏しいように感じましたが、皆さんはいかがだったでしょうか?
でもまずは今年開催出来たことを喜びたいと思います。
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