[CD-R盤]
チャイコフスキー/交響曲第6番 ロ短調 OP.74「悲愴」
ピエール・モントゥー指揮 ボストン交響楽団
1961.8.19、タングルウッド・ミュージック・シェッド
STEREO ライヴ録音
1961年8月、バークシャー音楽祭(現・タングルウッド音楽祭)におけるステレオ・ライヴ録音。
米マサチューセッツ州在住のエアチェック・コレクターによる提供音源。旧盤よりも高音質な音源による再発売。
ボストンのラジオ局(WGBH?)のFM放送エアチェックとのことだが、受信ノイズは皆無でエアチェックとは思えない驚異的な高音質。客席最前列で聴くようなダイレクトで生々しい音質が特徴。バランスも良好でダイナミック・レンジも広大、FM放送の規格により高域は15kHz に制限されているが、聴感上はそれ以上に広く感じる。音質だけで判断すれば1970年代のレコード用スタジオ録音といわれても疑わないだろう。ただし、会場ノイズは気にならない程度だが若干あり、第3楽章終了後、盛大な拍手と歓声が入る。「悲愴」では時折見られる光景だが、クラシック初心者の聴衆が多い夏の音楽祭ならでは?ともいえる。
ディスク化に当たっては、第1楽章中盤まで、右チャンネルの録音レベルが若干低い、というよりも定位が左寄りのためバランスを修正、15kHz 止まりだった高域を、ソフトウェアを使用して仮想的にCD高域上限20kHz まで拡大、ダイナミック・レンジが広すぎてレベル・オーバー気味の箇所のレベルを適正化等々、高音質音源故に、細かい調整作業のみ行った。
この日の演奏会は午後8時30分開演、プログラムは、最初にストラヴィンスキーのペトルーシカ1911年版、続いてゲイリー・グラフマン独奏でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、休憩を挟んで後半にチャイコフスキーというもの。
ペトルーシカと悲愴、いずれもモントゥー得意のレパートリー。この年のバークシャー音楽祭では、モントゥーは7月23日、8月4日、8月19日の3回登場(7月22日にオープンリハーサルもあった)、当時86歳の高齢だったが、元気そのものだった。この年の「悲愴」が好評だったことによるかどうかは不明だが、モントゥーは翌1962年のバークシャー音楽祭でも「悲愴」を演奏している。
モントゥーが演奏する「悲愴」は、例によって端正でスマート、スタイリッシュでありながら、推進力や迫力も十分、しかも味わいにも欠けていないという、老練な指揮振りが素晴らしい。足りないものといえば、ロシア系の指揮者や団体が見せるような泥臭さや野蛮さ?くらいだろうが、そのような要素がなく、純音楽的に演奏しても、十分効果的な演奏が出来るということを証明してくれる演奏である。
かつて、作曲・評論家の諸井誠が、同曲のモントゥーによるRCA ビクター録音について、「ストラヴィンスキーの目を通したチャイコフスキー」と評した。客観的で洗練された構築性、そして過度な主観的感情移入を排したモダンなアプローチを意味していると思われるが、モントゥーがストラヴィンスキーと出会った結果、このような演奏が実現したということではなく、元来モントゥー自身がそのような音楽性を身に付けており、たまたまストラヴィンスキーの作品に通じる要素があったというべきだろう。
上記のように、モントゥーにとってチャイコフスキー「悲愴」は、1955年に米RCA ビクターにスタジオ録音しているものの、当録音前後の時期は、それほど演奏頻度が高かったわけではないようだ。BSO では、1919年11月、BSO 常任指揮者時代に初めて取り上げ、1924年までに20回演奏しており、この頃は頻繁に演奏していたが、その後(BSO への客演が途絶えたため)26年空いて、1951年にBSO の指揮台に復帰した後は、1955年の定期演奏会とツアーで計6回、1961年(当演奏)、1962年に夏のバークシャー音楽祭で2回の演奏に留まった。ただし、同じく作曲者の交響曲第5番については、1953年以降1959年までに計12回演奏するなど、第5番の方を得意としていたのかも知れない。
とはいうものの、そもそもモントゥーには、演奏曲目の得意・不得意という分類がないかのようだ。
フランス系作品は当然ながら中心的レパートリー。ロシア・東欧系作品もストラヴィンスキーは言うまでもなく、チャイコフスキーも重要な存在。BSO に限ればバルトークやムソルグスキー(展覧会の絵)、プロコフィエフも演奏記録が残っている。また独墺圏作品はモントゥーが若い頃から格別に好んだレパートリーでありベートーヴェンやブラームスなどは途切れることなく演奏(1947年にはサンフランシスコ響とブルックナーの交響曲第7番も)、エルガー(特にエニグマ変奏曲)やヴォーン・ウィリアムズ、シベリウスも重要なレパートリーだった。オペラも、ヴェルディ「トラヴィアータ」、マスネ「マノン」、グルック「オルフェオとエウリディーチェ」のスタジオ録音があり、実演ではさらに「カルメン」や「ペレアスとメリザンド」のほか多数のオペラ作品を指揮している。マーラーとショスタコーヴィチを除けば、まさに万能の存在だった。
ピエール・モントゥーは、当ディスク以外に、同曲を上記のように1955年米RCA にBSO とスタジオ録音、同じく1955年にBSO とライヴ録音していた。なお、プレミエ60016DF・60017DF・60018DFIIの3点で、モントゥー指揮によるチャイコフスキー後期3大交響曲がステレオ・ライヴで揃う。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。
レーベル: PREMIERE
品番: 60018DFII
Stereo/Mono: Stereo
録音: 1961.8.19、タングルウッド・ミュージック・シェッド(半野外ステージ)、ライヴ録音