国産本格派プレーヤー復活の先駆けとして発売されたLUXMAN PD-171A は大きな反響を呼び、標準機の名を欲しいままにしてきましたが、トーンアーム供給中止により生産中止せざるを得なかったのは、まだまだロングセラーを続けるはずだっただけに大変残念でした。
これはもちろんメーカーも同じ思いで、すぐに次世代機の開発に取り掛かったものの、現在、十分な性能を備えたトーンアームを限られたコストの中で開発するというのは至難の業（ほぼ不可能に近い）で、あらゆる可能性を探って既に数年経っていました。
今回全く新規に開発されたアームは、既発売のPD-151 搭載アームで共同開発を行ったSAEC と再び組んで生まれたLTA-710。
さらにモーターとその駆動回路、キャビネットの構造も一新されて、見た目はPD-171A と大きく変わらないように見えるものの、全くの別物といえる進化を遂げています。
- 新開発の完全オリジナルトーンアームを搭載
今回新規設計されたのは、軸受に初動感度に優れるナイフエッジ技術を採用したスタティックバランス型トーンアームLTA-710。既発売のPD-151 でタッグを組んだSAEC との共同開発により、着想から２年半の時を経て完成された渾身のオリジナルパーツです。
実効長を10インチとすることで、トラッキングエラーの抑制と面振れに対する制動性を高めています。
適合カートリッジ自重：4〜11g（付属ヘッドシェル込み17〜24g）
- 大容量電源で駆動されるブラシレスＤＣモーター
フローティングマウントされた高レギュレーション性能の大容量電源トランスで駆動されるオリジナルの高精度・高トルク・ブラシレスＤＣモーターを、重量級のプラッターに合わせた専用スペックにアップデート。
さまざまな条件下で常に正確で揺るぎない回転を実現するサイン波PWM・PID 回転数制御(*)プログラムや、温度特性に優れるMEMS 発振器（シリコン発振器とも呼ばれます）を使用した速度補正用の高性能基準クロックを採用することで、極めて高精度で静粛な回転を可能としています。
* PID 回転数制御
「Ｐroportional：比例演算」目標回転数への素早い制御、「Ｉntegral：積分演算」微少誤差を吸収する制御、「Ｄifferential：微分演算」急速な変動に対する制御。
PD-191A では、これらの制御を高度に融合したプログラムをドライブモーターに実装しています。
- 5.2kg 重量級プラッター
極厚のアルミの塊から高精度で削り出し、ダイヤモンドカッティングで仕上げた厚さ35mm，重量5.2kg のプラッターを搭載。
プラッターの重量を支えるスピンドル部は、下端にボールベアリングを嵌め込んだ軸径16mm の高硬度ステンレス製スピンドルシャフトによる高剛性仕様。
耐熱性，耐摩耗性に優れたPEEK（ポリ・エーテル・エーテル・ケトン、エンジニアリング・プラスティック）材で受けとめるスラスト軸受と、高荷重時にも安定した潤滑性を維持する有機モリブデンオイルを充填した真鍮製ラジアル軸受を組み合わせたベアリング構造で、重量級プラッターをしっかりサポートします。
- 進化した制振構造
15mm 厚のアルミプレートに主要パーツを取り付けるアンダースラング（吊り下げ）構造により、高い剛性と制振性を両立。
振動源となるモーターと電源トランスは、極厚のボトムプレートに制振ゴムを介してマウントすることで、デリケートな信号のピックアップを振動源から切り離し、機械的なS/N（ランブル）とハウリング性能を大幅に改善しました。
- ３種類の回転数切り替え
上級機PD-171A には無かった機能として78 回転にも対応。
これは新規採用のＤＣモーターが大きなトルクを有するため可能となりました。
フロントパネルに回転数ごとに独立して用意されたボリュームにより、内蔵されたストロボスコープを見ながら回転数の微調整が可能です。
- トーンアームを拡張する豊富なオプション
本体後部には、12インチサイズのロングアームにも対応する外付けアームベースも別売で用意。
また、アームベースを交換可能な独立パーツとすることで、各社の様々なトーンアーム（9〜10 インチ）を取り付けることが可能です（別売のアームベースはPD-171A/AL 用と共通）。
ダストカバーは別売りのオプションとなります。
