
待望のトーレンス復活、久々に日本再上陸を果たしました。
実は140年にも及ぶ長い歴史の間には様々な変遷があり、いわば現在のトーレンスは第3世代とも言うべき新生トーレンスなのです。
今回再上陸のきっかけとなったのは、2018年から強力なリーダーシップで牽引する新オーナー、自身も技術屋であるグンター・キュルテン氏が、自ら敬愛するトーレンス・ブランドの立て直しを敢行、それがほぼ軌道に乗って、日本に導入することの出来るラインナップが揃ったことでした。
こんなトーレンスを待っていた!

Gunter Kurten, owner,CEO
トーレンスと言えばベルトドライヴ・プレーヤーが有名ですが、1929年にはダイレクトドライヴ・ターンテーブルモーターの特許をスイスで取得しています。意外にもダイレクトドライヴのオリジネーターはトーレンスだったのです(但し現代のダイレクトドライヴモーターとは異なり、ギヤーを用いてスピンドルをダイレクト駆動)。
あまり知られていませんが、1950年代初頭にはダイレクトドライブ・ターンテーブルのシリーズ3モデルを製造していましたし、1982年には業務用モデルとしてDD モーター採用のTD524 を商品化しています。
トーレンスにおいては現在も、フラッグシップモデルであるTD124DD に見られるように、モデルごとに音質と性能,機能を考慮して、最も相応しいドライヴ方式を採用していくという方針が貫かれています。
TD403DD は、上位機と同一のトーンアームを搭載し、価格を超えた再生音を実現しながら、DD 採用によるメンテナンスフリーでシンプルにお楽しみ頂けるスリムでクラシック・モダンな外観のマニュアル・プレーヤーです。
- 新開発のTP150 トーンアーム
今回のトーレンス・プレーヤーにはどれもトーンアームが、しかも日本で人気の高いユニヴァーサル・タイプのアームが搭載されているのが大きな魅力です。
TD1500,TD1600,TD124DD、いずれもちょっと見には同じように見えるアームが着いていますが、実はすべて別物。各モデルに対して専用設計のアームが着いているのです。
これが実は大変なことで、トーンアームの開発には大きな手間と時間,コストがかかります。それにもちろんそれぞれを作り分ける技術も。
TD403DD には、上級機TD1500 と同一の高品位トーンアームTP150 が搭載されているのが大きな特長です。
インサイドフォース・キャンセラーは独自のスライドウェイト・タイプが採用されています。カバー内に仕込まれたウェイトから、ルビー・ガイドを通ってナイロンテグスがアームに繋がっています。ウェイトをスライドさせてキャンセリング調整を行います。
メイン・バランスウェイトは大小二つの部分から成っていて、2本のビスを外すことで分割が可能です。特に軽量なヘッドシェル+カートリッジの場合はひとつのウェイトだけ使うことも出来ます。
別売りの重量ウェイトを組み合わせれば、30g を超えるオルトフォンSPU カートリッジの取り付けも可能です。実際、SPU を着けられるプレーヤーは現在限られていて、海外製プレーヤーではそれに対応するアームを着けない限り困難。その点、TD403DD はSPU ユーザーにとっても有難い存在です。
またアームの高さは、支柱部分下側にあるリングの小穴に付属のスティックツールを挿し込んで回すことで無段階に調整が可能です。木目細かい調整が簡単に出来て、これは便利。
それに合わせて、アームレストやアームリフターも高さ調整が可能です。
ヘッドシェルは別売りの単品もご用意しています(付属ヘッドシェル同一品)。

TP150 tonearm

Ortofon 2M Blue カートリッジが付属
- 新開発スリム・ブラシレス・サイレント・DC ダイレクトドライヴモーターを採用
スリム・ブラシレス・超静音DC ダイレクトドライヴモーターを採用し、フィードバック制御による高精度な回転と、低ノイズ再生をメンテナンスフリーで長期間維持出来ます。
【ブラシレスDCモーターの特長】
長寿命: ブラシレスDC モーターは、従来のブラシ付きDC モーターと異なり、ブラシと整流子が存在しません。これにより、摩耗による劣化がなく、長寿命です。
騒音: ブラシと整流子の接触がないため、摩擦音や電気的ノイズが発生しにくく、静音動作が可能です。
高効率・省エネルギー: 電磁ノイズが少なく、エネルギーロスが低減されるため、高いエネルギー変換効率を実現します。
小型・高出力: ローター部に永久磁石を使用しているため、コンパクトなサイズでありながら高い出力を得ることが出来ます。
【フィードバック制御の特徴】
TD403DD のDD モーターでは、ローターの位置や速度を検出し、その情報を基にフィードバック制御を行っています。
安定した速度制御: 磁気センサーからのフィードバックにより、負荷の変動に対しても回転数を一定に保つことが出来、高精度な速度制御が可能となります。
高応答性: フィードバック制御によりモーターの状態をリアルタイムで監視、迅速な応答が可能で、急な負荷変動にも柔軟に対応出来ます。
プラッターは、直径12インチ、重量1.4kg、高さ22mm のアルミ・ダイキャスト製。
お時間のある方は、下記動画もご覧下さい。前半はトーレンスの歴史(結構面白いです)とTD1500 関連、TD403DD は32分20秒ごろからです: