[CD-R盤]
サン=サーンス/交響曲第3番 ハ短調 OP.78
「オルガン」
シャルル・ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団
ベルイ・ザムコヒアン(Org)
1966年,1962年のボストン響(BSO)定期演奏会におけるステレオ・ライヴ録音。
米マサチューセッツ州在住のエアチェック・コレクターによる提供音源。ただし、本音源はエアチェックではなく放送局保管音源のコピーと思われ、当時のライヴ収録としては驚異的な優秀録音。
サン=サーンスについては、ワイドレンジで歪みもなくヒスノイズなども極小。オルガンの低域もよく聞き取れ、ボストンのラジオ局(WGBH?)の収録技術の高さに感心する。
当録音はかつて伊CINCIN レーベルからCD化されていたが、当ディスクほどの高音質ではなく、エアチェックまたはコピーを重ねた音源によるものだったと想像される。
一方のラヴェルも同等の高音質。こちらもかつて米ミュージック&アーツ・レーベルからCD化されていた。
ディスク化に当たっては、サン=サーンスについては、音質を損ねない範囲でヒス・ノイズを低減、左右チャンネルの分離が強くセンターが中抜けになっていたため、左右の拡がりを調整。ラヴェルについては、ノイズ低減とともに、ダイナミック・レンジが広過ぎたため、コンプレッサーによって強音と弱音の差を若干縮める操作を行った。
1966年のライヴはBSO の定期演奏会から。3月11・12・15・17日の4回公演初日(10日に公開リハーサルがあった)で午後2時開演のマチネー。冒頭にエルガーの「序奏とアレグロ」、続けてマルティヌーの交響曲第6番(BSO 創立75周年記念委嘱作品。1955年にミュンシュによって初演)、休憩を挟んでサン=サーンスというプログラム。
ミュンシュはサン=サーンスの「オルガン付き」を得意としていたか、聴衆から求められていたかは不明だが、ボストン響とは1946〜47年シーズンに3公演、1949〜50年7公演、1950〜51年2公演、1953〜54年6公演、1958〜59年2公演、常任指揮者退任後の1962〜63年シーズン4公演、1965〜66年4公演と数多く取り上げている。確かに聴衆の人気は絶大だったようだ。
なお、サン=サーンスの録音年月日は、前出伊CINCIN レーベルCDでは1962年4月20日と表記されていたが実際は1966年が正しい。ミュンシュのBSO 常任指揮者退任後に当たり、BSO と同曲最後の演奏機会となった。すでに後任ラインスドルフの常任指揮者就任4年目にさしかかる時期であり、BSO の演奏も変化しつつあった時期だが、ミュンシュが振るとかつてと同様ダイナミックで熱い演奏が再現されている。同曲終楽章のコーダを延々と引き延ばすのはミュンシュならではのスタイルだが、ここでは引き延ばしすぎてトランペットが途中でブレスを入れているほど。時折ミュンシュの「かけ声」が聞こえる。
一方、ラヴェルのラ・ヴァルスも得意の曲目で、1949年のボストン響常任指揮者就任後、ほとんど毎シーズン取り上げていた。1962年の公演は2月2〜4日の定期演奏会初日、こちらも午後2時15分開演のマチネー。
冒頭、この年の1月29日に亡くなった大ヴァイオリニスト、フリッツ・クライスラー追悼のためにベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番から第3楽章弦楽合奏版、そして当初予定のプログラム第1曲・ドビュッシーの夜想曲、続けてオネゲルの交響曲第5番「三つのレ」。休憩を挟んで後半第1曲がサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番(ピアノ独奏:ジャンヌ・マリー・ダルレ)、最後にラヴェルのラ・ヴァルス。最後は盛り上げて終了というミュンシュらしいプログラミングといえる。
ラインスドルフが、ミュンシュ時代のレパートリーがフランス作品偏重だったことを批判したが、本CDにおける演奏後の熱狂的な喝采を聞くとミュンシュの人気のほどが分かり、レパートリーの偏りなどどうでもよいという気もする。一方で、引き締まったアンサンブルと即物的・理知的演奏を旨とするラインスドルフは、専門家の評価は高かったものの、ミュンシュのような大衆的人気を得ることは出来ず、結果的に貧乏くじを引いてしまった。
ミュンシュは、サン=サーンスの交響曲第3番を1947年米CBS にNYP と、1959年米RCA にボストン響とスタジオ録音していたほか、1954年ボストン響とのライヴ録音がある。
また、ラヴェルのラ・ヴァルスを 1942年仏グラモフォンにパリ音楽院管と、1950年,1955年,1958年,1962年それぞれ米RCA にボストン響とスタジオ録音していたほか、1958年にボストン響,1963年シカゴ響とのライヴ録音が残っている。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。