[CD-R盤]
ベートーヴェン/交響曲第9番 ニ短調 OP.125
「合唱」
フランシス・イーンド(S)、マーサ・リプトン(A)、デイヴィッド・ロイド(T)、マック・ハレル(Bs)
ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
ウェストミンスター合唱団
米ミトロプーロス協会提供による提供音源。
エアチェックではなく放送局保管音源のコピーと思われる。10数年前に同協会のプライベートCD-Rが少数流通したのみでほぼ初出。現在確認されている唯一のミトロプーロスのベートーヴェン第9録音である。
音質は1950年代中頃のライヴ録音としては標準的。特に優秀というわけではないが、バランスも良く、当時のテープ録音では避けられないヒス・ノイズも許容範囲で鑑賞に支障はない。但し注意書きにあるように第3楽章の一部(タイミングの6分28秒〜7分30秒)に、保存テープのトラブルによる再生不能箇所があり、欠落箇所はフリッツ・ブッシュ指揮デンマーク放送響の1950年ライヴ録音で補われている。幸いテンポ設定や音質などがよく似ており、違和感なく収まっている。
ディスク化に当たっては、音質を損ねない範囲でヒス・ノイズを低減、ソフトウェアにより高域を仮想的に若干拡大、周波数バランス調整等、必要最小限の音質改善を行った。
ミトロプーロスはニューヨーク・フィル(NYP)とベートーヴェン第9を、当ディスクを含む1955年に3公演、1956年に1公演(第4楽章のみ。国連デーの特別演奏会)指揮しており、4月17日の公演は1954〜1955年シーズン最後の定期演奏会であった。
当公演は午後2時30分開演、第9の前にヤン・マイエロヴィツ(1913〜1988年)による「The Glory Around His Head」(復活のカンタータ)が初演された。
ミトロプーロスは、1951〜1957年のNYP 音楽監督の在任中、数々の現代曲を取り上げており、1954〜1955年の1シーズンだけを見ても、ショスタコーヴィチの交響曲第10番(アメリカ初演)、ロイ・ハリスの交響的警句(初演)のほかスカルコッタス,ミヨー,リエティ,メニンなど、珍しい作品を数多く演奏した。しかし、その一方で音楽監督在任中のベートーヴェン第9全曲演奏は当ディスクの演奏を含む1回3公演のみ。NYP では1944〜1953年にかけてブルーノ・ワルターが同曲を6回9公演していることを考えると極端に少なく、結果としてニューヨークの保守的な聴衆の不興を買い、後にバーンスタインへ交代する要因となった。とはいうものの、当ディスクに聴く演奏は峻厳で推進力に富み、まさしくミトロプーロスの名に恥じない演奏といえる。
ミトロプーロスによるベートーヴェンの交響曲録音は、スタジオ録音では1940年米コロンビアにミネアポリス響と第6番を録音したのみ。その他にライヴ録音として1〜3,5,8番が残されている。
ちなみに本CDの独唱陣と合唱は、1953年に行われたブルーノ・ワルターによる米コロンビアへのベートーヴェン第9第4楽章再録音とまったく同一である。NYP による第9公演のレギュラー・メンバーという位置づけだっだのだろう。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
また、CD・DVD・SACD再生兼用のユニバーサルプレーヤーや、1990年代以前製造の旧型CDプレーヤーなどでは再生出来ない場合がありますが、メーカーや機種の異なるプレーヤーでは再生出来ることもありますので、複数のプレーヤーをお持ちの場合はお試し下さい。