[CD-R盤]
ベートヴェン/交響曲第6番 ヘ長調 OP.68
「田園」
ハイドン/交響曲第88番 ト長調 Hob.I-88
ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック
1944年5月14日, 1943年11月7日、カーネギーホール(NY)
ライヴ録音
ワルター&ニューヨーク・フィルによる第2次世界大戦中のライヴ録音。
米マサチューセッツ州在住のエアチェック・コレクターの提供音源。ただしエアチェックではなく、放送局か大学図書館・資料室等の保管音源のコピーと思われる。
テープ録音が実用化される以前に使用されていた、連続20分程度録音可能な33回転16インチ・アセテート・ディスク・レコーダーによる録音。
年代を考慮すれば、ディスク録音特有のスクラッチノイズも比較的少なく、バランスも良く適度に残響もあり、古い78回転SPレコードやアセテート・ディスク録音の音質に慣れたリスナーであれば問題なく演奏を楽しめるレベル。やや音の濁りがあり、さらにクリアに響くと申し分ないが、戦時中のディスク録音にこれ以上の要求は無理な注文か。当時はアメリカでも戦争の影響でアセテート・ディスクの品質が低下したと言われ、その影響があったかも知れない。会場ノイズは聞こえない。
ディスク化に当たっては、アセテート・ディスクの傷や損傷によるクリックノイズやドロップアウトはマスタリングで軽減・除去。さらにアセテート・ディスク間の音量レベルの変動を解消、その他周波数バランスの一時的変動等を改善した。条件が異なるため比較は難しいが、音質そのものは同時期に放送局のスタジオで収録されたトスカニーニ&NBC 響の録音には及ばないが、メトロポリタン歌劇場などのライヴ録音よりも良好といえる。
「田園」は、定期演奏会シーズンを終えた1944年5月7日と14日の2回行われた「サマー・ブロードキャスト・コンサート」からの1曲。CBS 放送によるラジオ中継を兼ねた演奏会で、14日は、アメリカ国歌と「田園」の後、休憩を挟んでワーグナー「ローエングリン」から第1幕と3幕の前奏曲、「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死というプログラム。
中継放送を前提としたためか、定期演奏会などに比べて若干短い組み合わせ。アメリカ国歌は戦時中特有のプログラムと思われがちだが、記録を見ると毎回演奏されていたわけでもなく、5月7日のコンサートでも演奏されていない。
ハイドンの88番は、前年11月の定期演奏会からの1曲。当日は、ベートーヴェン「エグモント」序曲、ハイドン、休憩を挟んで後半にブラームス交響曲第1番というプログラム。通常のNYP の定期演奏会は3〜4公演行われることが通常だが、このプログラムでは7日のみ。11月4〜6日に「エグモント」序曲をミクロス・ローザ(ロージャ)の「主題と変奏、終曲」に替えたプログラムで3公演が行われており、7日は追加公演だったかもしれない。
ワルターにとって「田園」は、ウィーン・フィルとの78回転SP録音やコロンビア響とのステレオ録音などで定評あるレパートリーと言われているが、NYO との演奏は意外に少なく、1933年4公演,1943年2公演,1944年の当公演,1949年3公演,1957年1公演のみ。ちなみにウィーン・フィルとも1947年と1953年の2回しか演奏しておらず、「たまに取り上げる曲目」といった状態で、レコードの印象と実際の演奏会レパートリーの違いがよく分かる。
演奏自体は、年代が近接している1946年のフィラデルフィア管とのスタジオ録音に近いが、同録音のようなドライな感じはなく、後年のコロンビア響との録音のような潤いや豊かさを感じる。スタジオにおける演奏とライブ演奏の違いが出ているようだ。
一方、ハイドンの88番もNYP とは「田園」と同程度の演奏頻度。1933年4公演,1943年当演奏を含む4公演,1950年1公演,1951年1公演,1954年1公演であった。2曲とも数少ない機会を捉えた貴重な演奏記録といえる。
ワルターは当CDの録音以外に、ベートーヴェンの「田園」を1936年英HMV にウィーン・フィルと、1946年米CBS にフィラデルフィア管と、1958年同じく米CBS にコロンビア響とそれぞれスタジオ録音したほか、1951年ロサンゼルス・フィルとのライヴ録音がある。
また、ハイドンの88番を1961年米CBS にコロンビア響とスタジオ録音していた。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
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