[CD-R盤]
ショパン/
ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 OP.11
ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 OP.21 *
サンソン・フランソワ(Pf)
スタにスラフ・スクロヴァチェフスキー指揮 フランス国立放送管弦楽団
*パウル・クレツキ指揮 フランス国立放送管弦楽団
1962.6.17、パリ・フランス国立放送(RTF)スタジオ
1955.11.24、パリ・シャンゼリゼ劇場
モノラル、放送ライヴ/コンサート・ライヴ収録
2曲とも音源は英国人エアチェック・コレクターからの提供で、エアチェックではなく放送局保存音源の良質なコピーと思われる。
第1番はフランス国立放送(RTF)のスタジオにおけるテレビ放送のための収録で、少数ながらスタジオ内に聴衆(見学者?)がいるようだ。表記の録音日は、放送日であり収録日ではないと言われているが、生放送だった可能性も否定できない。第2番はラジオ放送を前提としつつも、聴衆を入れた通常のコンサートのライヴ録音。
第1番は海外でDVD化された演奏と同一だが、同じマイクラインながら、ラジオ放送用に音声のみテープレコーダーで別録りされたものが当ディスクの音源らしく、当ディスクの音源はDVDよりも高域が伸びているせいか、DVDではオーケストラと混濁気味だった独奏ピアノがより明確に聴こえる。ただ、テレビ放送用のため目障りにならないようにマイクの数を制限しているためか、オーケストラの解像度が若干低いが、これは許容範囲であろう。フランソワのピアノを聴く分には問題ない。
第2番は第1番よりも7年古く条件も悪いはずのライヴ録音だが、ややソリッド(堅め)な音質ながらバランスも問題なく、1950年代半ばの録音水準を上回る十分に良好と言える音質。両者とも会場ノイズも極めて少ない。第1番は拍手なし。
ディスク化に当たっては、基本的に音質良好であるため、微細なヒスノイズの低減,周波数バランスの微調整のみ行った。
フランソワは、ショパンのピアノ協奏曲第1番を1954年と1965年にスタジオ録音しているが、当ディスクの録音年はその中間に当たるもの。「フランソワとしては」という条件付きで端正だった旧録音、自由奔放・勝手気まま・やりたい放題だった再録音と比較すると、ピアノ独奏自体は当然再録音のスタイルに近くなっているが、スクロヴァチェフスキーが巧みにサポートしているためか、表面的には意外にまともな演奏に聴こえる。再録音で共演したモンテカルロ歌劇場管より、柔軟性と対応力に長けたフランス国立放送管の貢献も大きいか。独奏者の個性を十分に生かしつつ、指揮とオーケストラが演奏の崩壊を防いでいるようだ。スクロヴァチェフスキーは当時41歳の中堅ながら、その実力は高く評価されていた。1960年からミネアポリス響(現ミネソタ管)の音楽監督を務めていたが、かつてフランス留学の経験もあり作曲家としてもパリで活動したため、当時はフランス国立放送管を指揮する機会も多かったようだ。
一方、第2番は1958年と1965年にスタジオ録音しており、当ディスクの演奏はそれ以前の録音である。フランソワにとっては第2番の方が相性が良いと思われ、1958年録音でもかなり自由に演奏しているが、ここではライヴということで自由度が増しているようだ。指揮のクレツキはフランソワに翻弄されることなく老練にサポートしている。
元来、第1番よりも先に作曲された第2番は、第1番よりも演奏の解釈の幅が広いらしく、そのためか、コルトーやハスキル、マルグリット・ロンなどフランス流派のピアニストは、第1番ではなく好んで第2番のみレコーディングを残していることが多い。
ちなみに1955年のシャンゼリゼ劇場におけるコンサートは、最初にチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」、ショパンのピアノ協奏曲第2番、スクリャービンの交響曲第4番「法悦の詩」という、意欲的というか曲順もバラバラの組み合わせ。パウル・クレツキ得意のロシア作品に、フランソワのレパートリーを追加した形と思われるが、それであればフランソワが好んだプロコフィエフのピアノ協奏曲でもよかった気もする。統一感のあるコンサート・プログラム構成は、1930年代のドイツで始まったとされ、欧米全体に広まったのは1950年代後半と言われるから、当時のパリでは第二次世界大戦前からの習慣が残っていたのだろう。
フランソワというと酒と煙草とジャズを愛し、退廃的な日常を送り、神がかり的な素晴らしい演奏をしたかと思えば惨憺たる演奏をするなど、気まぐれで出来不出来が激しかったというイメージがある。しかし、記録を見ると海外公演(3回来日している)やソロ・リサイタルを含む多くの演奏会に出演、オーケストラとの共演も多く、さらに膨大なレコーディングを行っている点を考えると、演奏の出来そのものは別として、強いプロ意識を持った誠実な演奏家という見方も出来る(キャンセル魔のミケランジェリは別の意味で音楽に「誠実」だったが)。ちなみに1967年に来日した際、当時の東芝音楽工業へレコーディングを行ったが、事前のテスト録音のプレイバックを聴いて「マイクが近すぎるので距離を空け、響きを多く入れるように」等々と細かく注文を出すなど、自らの仕事には熱心に取り組んでいたことがうかがえる。フランソワに対する評価は、ジャーナリズムによって面白おかしく誇張された部分も多いと考えられる。
サンソン・フランソワは、上記のようにショパンのピアノ協奏曲第1番を1955年と1965年、第2番を1958年と1965年それぞれ仏コロンビアにスタジオ録音していた。
※総合カタログは下記を参照下さい:
https://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index2.html
*【ご注意】
当商品はCD-R盤です。CD-Rは通常の音楽CDとは記録方法が異なり、直射日光が当たる場所、高温・多湿の場所で保管すると再生出来なくなる恐れがあります。
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