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ホーム店主日誌2015年1月
2015年1月
店主日誌:3
2015年01月19日
 

 
お客様の自主開催による「カートリッジ・オフ会」、新年明けて早速開催されました。
初登場も含めて今回は総出品、40数個ものカートリッジが並び、店の小さなテーブルにはコーヒーカップを置く隙間さえありません。
お気付きかと思いますが、すべてかつての最盛期の製品。今売られているカートリッジならばお金さえかければ数を揃えることは出来ます。
新しいものでも20年、古めのものでは40年経っているものが、ピッカピカ、すぐに再生可能の状態で保管されているところがミソなのです。

中から今回は、JIMTEC(!) V-Ⅲ,SHURE V-15 Type-Ⅲ,ELAC ESG795,LINN K9,DENON DL103SL (セラミック・ボディ),FR FR-6SE,Aurex C-505K(キット!)を次々と比較試聴。試聴レコードは名曲、デイヴ・ブルーベックのTAKE FIVE。

ジムテックとはまた懐かしいメーカー名を思い出させてもらいました。
ジム・ランシングとアルテックの合成名だそうですが、スピーカーやアンプ、カートリッジも作っていました。
今回出品されたのはV-Ⅲという、決して高価な製品ではありませんが、一番手で聴いたこともあったのでしょう、参加した3人ともその独特の説得力あるサウンドにしばし息をひそめて聴いていました。

どれもそれぞれ個性が楽しく、皆、魅力的な再生を聴かせてくれました。

最後のAurexのC-505K というのは、何とオーナー自身が組み立てるカートリッジのキット。オーレックス社員の指導のもと組み上げたそうです(写真は針を外したところ。カバーレスなので、コイルが透けて見えます)。
これが残っているのは大変珍しいでしょう。私も初めて知りました。
お客様が製作したものですので、まあ音は参考程度に、と音出ししてみると、これが意外や意外、ウェル・バランスで高次元の音を聴かせてくれたので、ン10年ぶりに聴いたオーナーも含めて皆ビックリ。

今回もたっぷり3時間楽しませて頂きました!
2015年01月14日
 

 
最近、始まるとつい気を取られるテレビCMがあります。
JR東海の「いま、ふたたびの奈良へ/大神神社篇」。

目を留めるより先に、いきなりティンパニの連打で始まる、あのボロディンのダッタン人の踊りから「全員の踊り」の音楽の強烈なインパクトに耳を奪われます。
お、何のCMだ?と映像を見ると純日本的、静寂に包まれた神社の情景がショートカットで連続し、動的な音楽とは好対照を成して、効果的に入るナレーションとともに印象深く実にカッコいいです。
その後半は一転して同じオペラから有名な「ダッタン人の娘たちの踊り」の女性ヴォーカルアレンジが、神聖で幻想的な雰囲気を醸し出します。
この意外性抜群の選曲は数あるCMへのクラシック使用例の中でも最近の注目作ではないでしょうか。
いつもながらこの会社のCM、うまいです。

そんなことを思っていたら、今日はこのCMを挟んで、まずその前にセコムの「未来をセコムする篇」CM。
これは大胆にアレンジしてあって始めは分かりにくいですが、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」から行進曲が使われています。
そして次がJR東海のダッタン人で、さらに続いて次は「東急不動産/BRANZ」。
ここではお目にかかる機会も多い人気曲、ラフマニノフの「パガニーニの主題による変奏曲」から有名な第18変奏が優雅に流れます。

奇しくもCM3つ連続してバックミュージックにクラシックを使ったものが並び、しかもどれもロシア音楽。
いかにロシアの作曲家達が優れたメロディーメーカーであるか、再認識した次第です。
2015年01月08日
 

 
もうあっという間に正月気分はどこかへ、という頃ですが、新年といえばウィンナワルツ。
店主はクリスマスの「くるみ割り」,大晦日の「第9」、とともに正月には私設ニューイヤー・コンサートとして恒例の1枚を選定しています。

これも面倒なときは、えい、またこれだ、とばかり超定番のボスコフスキー&ウィーン・フィル盤をちょちょっとかけて済ますことも少なくありませんが、今回はせっかくですのでもっと庶民的で、ある意味本当の地元ウィーン音楽を聴かせてくれる、アントン・パウリークさん(1901-75)にご登場願いました。

パウリークはオーストリア・ハンガリー帝国、現在のブラティスラヴァ(スロヴァキア)出身、アン・デア・ウィーン劇場,ウィーン国立歌劇場,ウィーン・フォルクスオーパーなどを股にかけ、オペレッタの世界で大活躍したまさにウィーン音楽の専門家でした。

ウィンナワルツ集は米VANGUARDを中心にいくつかのマイナーレーベルに入れていますが、これは店主好みのCONCERT HALL盤で題して「ウィーンの想い出」。録音からしても恐らくオリジナル録音と思われます。オーケストラはウィーン国立歌劇場管弦楽団。手持ちは仏ステレオ盤です。

多くのウィンナワルツ集はワルツで始まりますが、これはまず軽快にポルカシュネルの「うわ気心」でスタート、そのあとは、ワルツ「ロマンティックな人々」(ランナー),シャンペン・ポルカ,ワルツ「バーデン娘」(コムヅァーク),ポルカ「ハンガリー万歳」,ワルツ「スケートをする人々」(ワルトトイフェル),ポルカ「雷鳴と電光」,ワルツ「オーストリアの村つばめ」(ヨゼフ・シュトラウス),ワルツ「シェーンブルンの人々」(ランナー)、といった具合にワルツとポルカが交互に並んで飽きさせません(無記名はヨハン・シュトラウス作曲)。
ただのワルツ名曲集とはちょっと違うぞ的選曲、いいですねェ。
大好きなバーデン娘やスケーターズワルツが入っているのもお気に入りの理由です。