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2014年9月
店主日誌:1
2014年09月25日
 
昨日24日に東京フォーラムでのインターナショナルオーディオショウに行ってきました。
いつものように面白そうなブースに目星を付けて、上の階から順次降りていくように回りました。回った順に好印象だったところを挙げますと:

まずディナウディオ。
背高ノッポのCONFIDENCE C2 Platinum を井上千岳氏のデモで。エレクトロニクスはカナダSIMAUDIO の新シリーズMOON NEO 。
井上氏の最近の愛聴盤からバロック・ヴァイオリンとピアノ・ソロを聴きましたが、スピーカーのオーガニックな持ち味とうまくリンクして、大変素晴らしい音色を披露してくれました。
最後までは聴けませんでしたが、編成の大きなオーケストラ物も聴いてみたかった。
昨年聴いた時よりずっと良い印象でした。

次は同じ階のフューレンコーディネート・ブースでのPIEGA 。
見たこともない、ピエガとしては異例にバカでかいスピーカーシステムに驚きました。モデル名はMaster Line Source。
これはこれから発売予定の最上級モデル(二千万超!)だそうで、銀色のマグネパンのような大きな衝立型ミッドハイ部(高域リボン型×24,中域リボン型×9ユニット)と、これまたでかい縦に6本の22cmウーファーが並んだ箱型ベイス部が独立して片側セットで2基,左右で4基構成の大型システムです。
部屋が飽和気味でたっぷりした低域を持て余していたのが残念でしたが、まるでコンデンサー型のような音触のミッドハイはなるほどと思わせるものがあり、完璧にセッティングされた状態での潜在能力はかなりのものと感じました。
エレクトロニクスはOCTAVE 。これに関してはソリッドステートの大型モノブロック・アンプなどでも聴いてみたいところです。

ひとつ階を降りて、アブサートロン。
アメリカの名門Westlake のBB10VE をコロラドのBoulder のアンプとCDプレーヤーで。
近年のスマートな高級スピーカーと比べるとバッフル面の幅も広く、良きアメリカの雰囲気を漂わせていますが、それでも同社のなかでは比較的スリムでコンパクト(?!)、まとまりの良いスピーカーです。
その外観どおり、大変整った素敵なサウンドを聴かせてくれました。荒っぽいところなど微塵もなく、それでいてかかっていた女性ヴォーカルのエンターテイメント性がしっかり生きて、さすが堂々たる再現です。
パワーアンプにコンパクトなモノブロックの850 を計4台使ったバイアンプ・ドライヴも奏功していたようです。
お聴きになりたい方、どうぞご一報を。

帰り際、おや、どこかで見たような恰幅のいい外人さん、ボルダーの創立者・デザイナーのジェフ・ネルソン氏でした。
もう24年前から度々日本を訪れ、歩くのが大好きだそうで(それにしてはちょっと肥え気味?)、吉祥寺にある私もお気に入りの井の頭公園を散歩してきたそうです(今回の宿泊も吉祥寺)。

ひとつおいて隣りのアッカはいつものYG ACOUSTICS 。
昨年と変わらず、同じアメリカのフルメタルジャケット、MAGICO と並んでこの種のスピーカーの両雄との認識を深めました。
木の香りのするのもいいけれど、こうしたスピーカーもこれからは間違いなくひとつの流れとなっていくに違いありません。いえ、もうなっていますね。
アルミの塊から旋盤で削り出していく執念のダイアフラムあってこそのベイス・サウンドです。

そしてひとつおいて隣りトライオード・ブースには、今回楽しみにしていたうちのひとつ、カナダからの新顔、KRONOS のターンテーブルが待っていました。
ちょうど藤岡 誠氏が名調子でデモ中、大盛況で部屋に入ることもままなりませんでしたが、終わったところでようやく実物をつぶさに観察することが出来ました。
かねてより国内への紹介を心待ちにしていたのですが、精緻,かつマッシヴな姿は期待に違わぬものでした。
参考出品ながら、やはりトップモデルのKRONOS の洗練された威容は圧巻で、上下のプラッターが静かに音もなく反転する様は、時の象徴でもあるクロノスから、機械時計を見ているかのようです。
音はどうかって? これで悪ければ最悪、CDから切り替えてレコードをかけた途端、生々しいサウンドがほとばしり出てきましたので大丈夫、ご安心を。

その並びのハイエンド社ブースのドイツLansche Audio。昨年と同じイオン・トゥイーター搭載の比較的コンパクトなスピーカーNO5,1。
ほとんど表に出ることはありませんが、これは本当に素晴らしいスピ-カーだと思います。

さて最後に向かったのは、もうひとつ楽しみにしていた初参加のヨシノトレーディング・ブース。
デジタル・ソース類は一切置いていないという徹底したアナログ主義(?)は同社らしく、アナログ・レコードのみによるホットなデモが「アナログの伝道師」こと壁谷氏によって行われていて、こちらも満員の盛況でした。

目玉は本邦初公開のターンテーブル、Clearaudio のMaster Innovation。
リニアトラッキング・アームのTT2 を搭載しての勇士は、先のKRONOS とはまた違ったクールビューティ。こちらも上下2枚の重厚なプラッターが回っています。
組み合わせるエレクトロニクスはもちろんパラヴィッチーニ氏のEAR。
生々しいDG ホロヴィッツのモスクワ・コンサート、Blue Note 復刻45回転盤 SOMETHIN' ELSE などハイスピード・アナログが堪能出来ました。
ブースの外ではEAR 社主ティムさんが、新しく取扱いに加わったアメリカのケーブル・ブランドKubala-Sosna のジョー・クバラ氏と話に花を咲かせていました。
そこからの帰り道、空中の渡り廊下では、CONSTELLATION AUDIO ドリームチームの一員、ピーター・マドニック氏とすれ違うなど、今回インターナショナルショウらしい場面も多く見受けられました。

まだ訪れずに終わってしまったところがいくつもありましたが、これ以上長居すると苦手な帰宅ラッシュの中央線に乗る羽目になるので、今回はこれで失礼。