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ホーム店主日誌2016年10月
2016年10月
店主日誌:2
2016年10月16日
 

 
御茶ノ水で開催された「東京オーディオベース2016」に行ってきました。
 
今回は俄然アクセスが良くなり、アナログオーディオフェアや真空管オーディオフェアでお馴染みの損保会館斜め向かいにあるシティーホテルでの開催ですので、ずっと気軽に向かうことが出来ました。
ただ、初めての会場なので、期待すると同時に不安もないとは言えません。
ホテルは事前に地図で確認しておいたのですぐに分かりました。
ただ入り口は、実は帰り際に初めて分かったのですが、ホテル玄関から入るのではなく、二階へ直通の外階段があり、これを上がって入るとエントランスからスムーズに入ることが出来るのでした。
ホテル正面玄関から入るものと思い込んでいた私は(10mほど前を歩いていた人も同じでしたが)、何の案内も無いため困惑、少しウロウロしてからとにかく階段を上って何とかエントランスを見つけることが出来ました。
始めから苦言で恐縮ですが、確かに大きめののぼりがはためいてはいましたが、外階段入り口にもう少し分かり易いサインがあるといいと感じました。
 
内装はきれいな建物で、少々迷路のような構造ではあるものの、各室が完全に独立していてドアも遮音の良さそうな重たいもので、試聴に集中出来る環境です。
各メーカーの出展スペースはこの階(3階)に集約されており、まずは楽しみにしていたアポロン・インターナショナルのブースへ。
ここで中心となるのはフランスのメーカーYBAで、専用ブースでまとめて聴くことの出来る機会は久しぶりではないでしょうか。
アンプ類やCDプレーヤーはYBA、スピーカーはDYNAUDIOとYG Acoustics、アナログ・プレーヤーはドイツAMAZONのAMAZON 2 、そして、カートリッジはZYXの新製品Ultimate 100 が初お目見えです。
デモを行うのは、大の音楽ファンである営業担当の中村氏です。

CDでは、YBAの独自技術であるブルーLEDによる「パラドックス方式」を採用したCDプレーヤーSignature CD を使ってその方式の優位性を実際に確かめるべく、CDドライブ内にあるブルーLEDを黒いシールで覆って無効とし従来式のレーザー読み取りを行った時と、ブルーLEDを活かしてパラドックス方式で読み取りを行った時とで音の聴き比べを敢行。分かり易い女性ヴォーカルで聴き比べましたが、意外にはっきりと差が出て、パラドックス方式の有意差が認められました。
今までこの方式を搭載していたのはトップ機のSignature CD でしたが、今回新たに発売となったGenasis CD4 への採用で一気に身近になりました。CDプレーヤー自体、特別に高価なものは別として、なかなかその気にさせる製品が少ないなか、これはひとつ魅力的な新製品であるのは確かです。


YBA Genesis CD4
 
レコードでの試聴では、まずマイルス・デイヴィスの名盤「Somethin' Else」。トランペットの息遣いがいつにも増して生々しく聴こえたのは、新しくカーボン・カンチレバーを備えたZYX Ultimate 100 によるところが大でしょう。そうそう、それと、フォノイコはYBAの新製品、バッテリー電源をもつPH1 で、S/Nの良さはこれに負うところも大きかったはずです。
他にもオランダ(だったかな?)のプライヴェート・レーベルの女性ヴォーカルと、ちょっと珍しいスイスのチェロ奏者、アンリ・オネゲル(あのアンセルメの指揮した時代のスイス・ロマンド管主席)によるバッハの無伴奏チェロ・ソナタが印象的でした。
 
次は、これも楽しみにしていたAUDIO DESIGN
気持ちの良いほどにストレートな社名のこの工房メーカーは、設計を行う大藤 武氏がほぼ一人で運営しています。
今年、新しく発売となったプリアンプ、DCP-240 とパワーアンプは代表的モデルのひとつ、DCPW-200。スピーカーはいつもの背の高いDYNAUDIO Confidence C4 です。
PCによるハイレゾ音源で聴くストラヴィンスキー「春の祭典」ではパワーアンプの3,000 以上というダンピングファクターが奏功してでしょう、崩れることを知らない大太鼓の一撃は、爽快の一言。
もうひとつ、DECCA録音の、ラドゥ・ルプー(ピアノ)&プレヴィン指揮するロンドン響によるグリーグのピアノ協奏曲では、オリジナルマスターテープを聴くようなダイナミックレンジをもって当時の名録音が再現されました。私も昔から愛聴してきた名盤ですが、日本ビクターによる新しいマスタリングはレコードで聴くのとはまた違った魅力を引き出しているようです。
いずれも半導体アンプのメリットを最大限生かしたAUDIO DESIGNならではのサウンドには、全くブレが無いのが確認出来ました。
 

AUDIO DESIGN DCP-240
 
TRIODEはつい先日のインターナショナルオーディオショウでも聴きましたが、分かり易い山崎氏のデモで、大きな部屋はここでも大盛況。
新製品の大物、SPENDOR SP200 は、他ではなかなか聴くことの出来ない新しいブリティッシュサウンドを聞かせてくれました。
でも一番記憶に残ったのは山崎氏の真紅のジャケットかなあ。
 

SPENDOR SP200
  
DYNAUDIO JAPAN のブースではちょうどオーディオライターの和田博巳氏によるデモが行われており、新しいContour (コンター)シリーズが初お目見えとなりました。
いつもながらスマートで洗練されたトールボーイのContour 30 で、70歳超での最新アルバムという、ジェフ・ベックのプレイがフルヴォリュームでかかりましたが、年を感じさせない切れの良く過激なギターには驚きました。さすが、今でもバンドで弾く和田氏はソース選びが一味違います。
アメリカのスピーカーのように熱くなり過ぎはせず、でも音楽を十二分に楽しく聴かせてくれるContour 30 はホント、頼りになるヤツです。
 

DYNAUDIO Contour 30 (右)
  
ここまで来て腕時計を見ると、もう終了まであまり時間がありません。ブース数がそう多くはないので余裕で回れるかなと考え、少々各部屋で時間を取り過ぎてしまったようです。
最後にチーム「フォース」ブース(取り扱いブランドは、SAEC, IKEDA, MUTECH, tangent, ProAc, ROTEL など)へお邪魔しました。
小気味良い音でレコードをかけているのは、ポーカロラインの村山氏。このオーディオショウの運営室長でもあります。
アナログ・プレーヤーがVOXOA T50 、インテグレーテッドアンプがROTEL RA-1520(失礼、多分)、スピーカーがtangent SPECTRUM X5 。3点一式の総額が30万円を切るシステムですが、いやいやどうして、たっぷりした低音こそ不足はするものの、くっきりと音楽を描写して積極的に聴かせる力はスピーカ―の大きさ,価格を大きく超えてなかなか魅力あるお買い得システムと感じました。
 

tangent SPECTRUM X5
 
最後帰りがけには、1階物販コーナーに出展していたCDレーベル、FONTEC フォンテック(この会社も当店と同じく荻窪にあります)のところでつい大好きなジャン・フルネのCDを9枚も買い込んでしまいました。これも大きな収穫!
 
2016年10月02日

 
今年も恒例の東京インターナショナルオーディオショウに行ってきました。
週末の土日は極力開店したいので、初日の平日・金曜日に行きましたが、今年は何となく例年に比べて人の入りが多いように感じられました。 
印象に残ったところをかいつまんでご報告。

いつもと同じく一番上(7階は、はしょって)の階から回るのですが、ほぼ毎年ブースの位置は決まっていて、エレベーターを降りたすぐ脇はフューレンコーディネートです。
去年も最初に聴いたスピーカーがピエガの超大型スピーカーMaster Line Source で、今までのスリムで清楚なイメージとかけ離れたその規模に驚きましたが、今年最初に迎えてくれたのはその弟分、Master Line Source 2 でした。
 

 
これは実験的とも言えるフラグシップ機をずっと現実的な大きさ(と言っても高さは176cm)にまとめたもの。これなら日本でも大きめのリヴィングなら十分使いこなせるでしょう。
但し価格はペアで1千万円也と、少し(?!)高め。それでも上級機の半額以下になってはいます..。
音のほうは去年のMaster Line Source より親近感を持てるもので(去年は音が部屋の大きさに収まり切れなかった嫌いがありました)、凛として、かつ繊細極まるもの。中高域は2ウェイのリボン型で、しかもダイポール方式(音が前・後両方に放射)ですので、ちょうどエレクトロスタティック・スピーカーのような音感。少しひんやりした感触は、北欧の録音には特にマッチしそうです。



この隣にもう一組、やけにスリムで背の高いスピーカー・システムが並んでいました。オーストリアのブロッドマンの新しい上級機(実はこの上にもう少し大きなJB 205 があります)、JB 175。こちらはずっとスリム(幅23cm!)なのに高さはピエガとあまり変わらぬ162cm。大きな地震が来たら倒れないかなと心配なくらい。普通の人が見たら高級なつい立だと思でしょう。
ブロッドマンはかつて、あのピアノと同じベーゼンドルファー・ブランドで出ていた製品の流れを継ぐもの。ピアノ・ソロでデモが行われたのは確信犯的、恐らくピアノを鳴らしたらこの右に出るものは無いでしょう。十分な音量で鳴らした時のJB 175 は、まさに実物のピアノが目の前で実演されているかのような錯覚を覚えました。
こちらはウォルナット突板仕上げで予価710万円/ペア。

どちらも高価な分、趣味性も半端ではなく、正確なトランスデューサ―などは端から目指してはいません。それぞれのメーカーの特質を突出して表わした作品であることを実感しました。
ですからどちらも強烈なほどに主張が強く、高度に練り上げられた独自の持ち味こそが最大の魅力で、聴き手を選ぶものであるのは間違いありません。
が、使い手にピッタリ合えば、何物にも代えがたいものとなるのも確かです。
 

 
太陽インターナショナルのブースには、ステラから輸入を引き継いだドイツ、ブリンクマンのターンテーブルが展示されていました。
ブリンクマンには現在5つのモデルがあり(うち3つはベルトドライヴ)、以前輸入されていたOasis のひとつ下位に位置するBardo というスリムな機種がトップバッターに選ばれました。価格はOasis の約半額、816,000円。ブリンクマンお得意のダイレクトドライヴです。これはなかなか魅力的ではないでしょうか。
アームにはTonearm10.1 (385,000円)が用意されています。
 

 
1階降りて、まずお馴染みのトライオードのブースは満員!
同社真空管アンプの人気はいつもながらで、今回はそれに加えてトライオードが輸入する英国スペンドールに久々の新作、しかもフラグシップ機の登場とあっては当然でしょう。
その新作、SP200 は初めての大型フロアスタンディング・タイプ。でも大型フラグシップと言っても先のピエガやブロッドマンの後に見るとずっと身近で、ホッとしました。
音のほうもやはりどこかホッとする、いかにも管球アンプと組んだアナログ・レコード再生に似合う人肌のサウンド。当たり前ではありますが、当店で使っている同社のSP1/2R2 の延長上にあることが確認出来ました。
 

 
その並びのハイエンド(輸入代理店の名前です)のブースには、店主お気に入りのドイツ、ランシェ・オーディオのスピーカーがあります。
デモしているのはいつものNO.5.1。いつもながらイオントゥイーターは清々しくも楽しいサウンドで魅了します。
私どもで扱っておりますので、ブースで聴いてお気に召した方は、どうぞお問い合わせ下さい。
 


 
4階に降りて、ラックスマンからは新しい管球モデルが2機種登場。
インテグレーテッド・アンプのLX-380と、CDプレーヤーのD-380。このデザインは、昔からラックスを知る方にとっては「これぞ永遠のラックスマン・スタイル」というところでしょう。本当に魅力的な機器達です。
このブースも入り口から入ることさえ大変なくらい、いつもながら満員の盛況です。

さて、ガラス棟をひと回りした後は空中橋を渡ってD棟へ向かいます。
いつも大きく立派な部屋でデモしているのは、アクシス。
入り口を入ると、おや、どうやら特別ライヴ?なのか会場で歌うヴォーカルが聴こえてきます。



会場に入ってみると、音の主はシン・ゴジラのような大きなスピーカー、ウィルソン・オーディオのAlexandria XLF でした。
ソースの質が良いのはもちろんですが、まさにそこで歌手が歌っているような等身大の再現を、細部の表現も申し分なくプレイバックしてみせたのには、このスピーカーなら当然とは言うものの、改めて感心。
ウィルソン・オーディオは創業が'73年ですので、米ハイエンド・スピーカーの草分けとして本当に息の長いマニュファクチュアラーで、現在もなおデイヴィッド・ウィルソンが率いて世界トップクラスの製品を生み出し続けているのには感服します。
店主もかねてから最も信頼を置くひとつです。

いつも最後の時間はヨシノトレーディングのブースで過ごします。
今回からデモを担当するのはヴェテラン営業マン、畑山氏です。
 

 
丹精込めて設計した今のモデルがマイベストだ、と言わんばかりに、めったに新製品など出すことのない、いや、出す必要もないEARですが、久々にフルモデルチェンジのCDプレーヤーが登場。デジタル機器に関しては、ほんの少しばかり早目のリニューアルが必要ということでしょう。
このAcute Classic は、ショウに先駆けて既に当店で試聴会を開催済みで、お聴きになった方々に大変好評でしたが、ほとんどの方にとっては初お目見えとなります。
今回はこのCDプレーヤーが主役ですので、いつもはアナログ・レコードしかかけない(というより、CDプレーヤーの展示が無い)、ヨシノトレーディングとしては異例の(?)CDによるデモが中心となりました。
とにかく「音楽」を聴かせてくれるCDプレーヤーとしておススメなのはもちろん、DACとしても最高。詳細は製品ページをご覧下さい:
http://www.maestrogarage.com/product/2288