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ホーム店主日誌2013年2月
2013年2月
店主日誌:6
2013年02月24日

わが国にも大変縁の深いドイツの名指揮者、サヴァリッシュが亡くなりました。89歳でした。
学者然とした風貌そのままに、均整の取れて隅々まで目の配られた音楽は、同時に決して情熱も忘れることなく、常に最上級の演奏を聴かせてくれました。
また一人、大きな存在を失いました。
ご冥福をお祈りいたします。本当に今まで長らく有難うございました。
2013年02月20日

昨晩、東京オペラシティ・リサイタルホールで、米元響子さんのヴァイオリンを聴いてきました。

最も近い演奏会場でありながら、なぜかほとんど行く機会の無かった東京オペラシティ。リサイタルホールは初めてでした。
直方体の箱型でホールというより講堂や体育館といった素っ気ない空間ですが、音が出始めてみると残響などの響き,音の伝わり方がとても良く、よくこんな平行面だけの広間でこれだけの音が得られるものだと、まず感心。周囲の壁に全て木材を使って、上半分に反射拡散板、そして聴衆が入ることでコントロールはしているでしょうが、それだけとは思えません。聴いていた場所も良かったのかもしれませんが。

さて、肝心の演奏会は一言で言って大満足、とても美味しい食事をさせてもらった気分です。
実は彼女のことは全く知らず、ある方からの勧めで聴きに行ったのですが、若手の逸材として今後がとても楽しみな印象を持ちました。入りもほぼ満員の盛況でした。

今回のメニューはとても凝っていて(だから行く気になったのですが)、バッハ,イザイ,レスピーギ,武満など時代・場所をトリップ出来る趣向が凝らされています(奏者がプログラムに「時代の時差ぼけにご注意」と書いているのが気が利いています)。
しかも休憩をはさんだ前半と後半が対を成すように構成されていて、まずバッハの有名な無伴奏パルティータで始まるのですが、これに呼応するように後半の最初はイザイの無伴奏ソナタ、前半2曲目は武満で、これに後半の三善(作曲年代はほぼ同じ)、前半3曲目のドビュッシーのソナタの対しては後半のレスピーギのソナタで、しかもこの二つのソナタは全く同年の作曲、というように実に巧妙に組まれています。

期待の第一音に耳を傾け、まずバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番。最初にこのバイブルのような曲をもってきたところはなかなかですが、それだけにちょっと気負ったのかもしれません、若干硬さが感じられ、本来の持ち味を発揮するに至っていないよう。でも一曲目ですから、肩慣らしとしましょう。

続く武満は打って変わって彼ならではの静謐さと竹を割ったような音響の世界、これもバッハに劣らず難物。深呼吸、リセットをして取り組んだようで、これは良かった。
前半最後のドビュッシーは師直伝の曲ということで、さすがに自信と余裕をもって弾き切ったと聴きました。
ピアノの佐藤卓史さんも素晴らしい腕前を披露してくれました。

休憩が終わって後半は、本来の持ち味を十全に発揮出来たようで、充実した演奏を堪能出来ました。
なかでもイザイは当初第2番が予定されていたのですが(最初の演奏曲、バッハのパルティータ3番に因んでいる)、急きょ第3番「バラード」に変更、演奏を聴いて、なるほど彼女はやっぱり弾きたいほうを選んだんだな、と感じました。全曲中最も没入して弾く姿が印象的で、聴き応えがありました。
次の三善晃の曲、「鏡」は初めて聴きましたが、イザイのすぐ後でほとんど違和感なく聴けました。技巧的にもとても難しいのでしょう。同時期の同じ日本の作曲といっても、武満とは全く違う音楽。
最後のレスピーギは近代のヴァイオリン・ソナタとして比較的有名な曲ですが、実演で聴くのは初めて、なるほど最後にもってくるだけあってダイナミックレンジも大きな大曲、二人の熱演で全体を締めくくりました。

何より彼女の音の美しさに惹かれました。美しいといっても色々ありますが、たいそう気品があって決してヒステリックにならず、常に優しさを失いません。男勝りにバリバリ弾く女流も沢山いますが、彼女のヴァイオリンは女性ならではの美しさが魅力と感じました。
きれいといっても決して線が細くはなく、充実した響きを失うことがありません。
余計な艶が付くことが無く、めいっぱい歌い上げても耳障りな響きとなりません。オーディオ屋的にいうと、ちょうど最高品位のソリッドステートアンプで鳴らしたときのようです。
勧めてくれた方から聞いたことですが、これは彼女が最近使うようになった愛器によるところも大きいのかもしれません。

こうした特徴はアンコールの2曲、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」とラヴェルの「ハバネラ形式の小品」でもはっきりと対比出来ました。
ラフマニノフは滑らかで優しい唄が夢のようですが、ロシアの憂鬱を引きずることはありません。そのためいつもより淡々とした印象。
それに対してラヴェルは得意なフランス曲でもあり、水彩画ながら多彩な色彩が産毛で撫でられるような音色で再現されます。個人的には後者が断然楽しめました。

また他のホールや、協奏曲の演奏なども聴いてみたいところです。

(勝手に)想像していたより小柄な方で、少しはにかむように優しい笑顔でお辞儀するところなどは彼女の音そのものを反映しているかのようでした。

そうそう、こんなに美味しいものを頂いた気分の後で入った食堂の、かつ重のまずかったこと、これだけは残念!
2013年02月18日

たまたま22年前の朝日新聞(?)の記事切抜きが出てきました。

「どっこい元気だナガオカ針」
'91年5月11日、朝日新聞(抜粋)

CDに押されてレコードの売り上げが鈍り、会社解散に追い込まれたレコード針の販売会社「ナガオカ」の元社員たちが新会社「ナガオカトレーディング」を設立、「ニーズがある限り供給していく義務がある」との心意気が、レコードマニアに通じたようで、かなりの注文が舞い込んでいる。
ナガオカトレーディングが設立されたのは昨年(’90年)9月。ナガオカ針の製造にあたってきた子会社「山形ナガオカ」の工場長だった長岡義孝さんが中心となって社員を募り、計15人で発足した。
「ナガオカ」が解散した後も山形ナガオカは存続、1,500種類の針を生産する能力があり、注文に応じて供給する。

規模は違うかもしれませんが22年後の今も(現在は長岡秀樹社長)、もちろんナガオカは数多くのレコード針を「世界のナンバーワンブランド」として供給し続けてくれています。
こんなところにもまるで「プロジェクトX」のような小さなドラマがあったのですね。

かつてプレーヤーを出していたほとんどの国内メーカーの針が揃います。ナガオカ針のお問い合わせは、どうぞ当店まで。
2013年02月16日

名CDプレーヤー Studer D730専用の当店オリジナル・ダストカバーDustcover D730に、フランスからご注文を頂きました。
たまたま目が高い(?)方の目に留まったとは思いますが、それにしても日本語でしか書いていないWebサイトを見てお問い合わせ頂くとは、改めてインターネットの力を認識致しました。

誠にありがとうございます。只今出荷準備中、週明けにパリに向けて発送です。
日本のお客さまも、どうぞよろしく!
2013年02月12日

スピーカー・システムの項を見るとほとんど製品が載っていないので、そう思われる方も多いでしょう。
でももちろんそんなことはありません。
アナログ・プレーヤー関連から順にアップしていることもありますが、むしろ最も重要なコンポーネントだからこそ、数多い製品の中から何をご紹介していこうかと慎重になり、ついなかなか製品アップがはかどっていないのです。

これはよく言われることですが、システムを組もうとする際、まず何を基準にして構築していくのが最も間違いが無いかといえば、やはり直接、音を発するスピーカーです。この選択を誤ると、他をどうしようとどこまでも自分の中には違和感が残ります。
逆に、自分にしっくりくる音を出してくれるスピーカーが見つかればしめたもの。
永年の愛機となる製品に出会うお手伝いが出来れば、幸いです。

2013年02月02日

CLEARAUDIO Concept MM

NOTTINGHAM Interspace Jr.

人気アナログ・プレーヤー2機種試聴会、1日目が終了しました。
遠方から足をお運び下さったお客様、有難うございました。
同じく明日も1:00PMからやっていますので、どうぞお越し下さい。愛聴盤をお忘れなく!
ついでに中古レコードも見ていって下さいね。