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2016年5月
店主日誌:4
2016年05月30日
 
第一生命から第29回「サラリーマン川柳」コンクールの小冊子が届きました。
読んでみると思わず力なく笑ってしまう脱力名作も多く(店主はこういうのが好きです)、勝手にマエストロ・ガレージが選ぶ10選をご紹介します。
元々のベスト100の上の方から並べているだけで、順番はあまり関係ありません、どうでもいいですが念のため。
最後のも見てね。

(1)
娘来て
「誰もいないの?」
オレいるよ

(2)
じいちゃんが
建てても孫は
ばあちゃんち

(3)
決めるのは
いつも現場に
いない人

(4)
気を遣い
妻を目で追う
オレとイヌ

(5)
「まぁ聞けよ」
もう聞きました
5回ほど

(6)
「休みます」
新入社員の
紙対応

(7)
定年後
帰りは何時
聞く側に

(8)
「ご」を打つと
自動変換
「ごめんなさい」

(9)
ただでさえ
無礼な部下の
無礼講

(10)
地方より
創生したい
我が家庭

(番外、店主作)
妻買った
健康器具は
今物干し
(字余り!)
2016年05月23日
 
「電波新聞」といっても一般の方にとっては馴染みの無い名前かもしれませんが、電機業界ではとてもポピュラーな日刊紙で、店主もかつて大昔メーカー勤めのころには、各部署に毎朝届いて上長から順番に回し読みしていました。私なんかは最後の最後、一部切り抜きされていたりしましたが、それを課長や主任が明日の朝礼のネタにするわけです。

そんな業界紙ですから載っているのは大手の電機メーカーや部品メーカーの話題や新製品、業界や市場の動向、或いは販売店情報も大型量販チェーンなどについてですが、ここ1年半ほど、「注目の老舗オーディオ専門店」という題で全国のオーディオ・ショップを毎週1軒ずつ取り上げて紹介する記事を連載しています。
多くは地域に何店舗も構えるような大手有名店ですが、どのような経緯か、私どものような極小手(大手の反対語のつもり),超専門的個人商店を取り上げて頂けるのは有り難い限りです。

来店されたのは大橋氏と小川氏、世代は大きく異なるお二人のコンビネーションがなかなか絶妙で、こうして全国様々な店を取材しながら世代継承も兼ねて続けているのだとか。実に素晴らしいことではありませんか。
実は大橋氏は知る人ぞ知る電子工作業界(?)の大御所で、電波新聞社の「電子工作マガジン」編集長も兼ねています。
かつてのオーディオ全盛時代真っ只なか世代でもあり、つい取材を離れて熱く語り合う場面もあり、大変楽しいひと時を過ごさせて頂きました。

記事は6月3日・金曜日付の電波新聞に載せて頂きましたので、もし機会がありましたらご覧になって下さい。
2016年05月18日

お得意様愛用のCDプレーヤー、PHILIPS LHH700 の修理を行いました。

既に発売から四半世紀を経た製品ですので各部での劣化は避け難く、とくにメカニズム部分は動作に不具合が出て当然といえます。
今回の症状はCDがうまくローディングされず、かからないというものでした。

分解しドライヴメカを外してチェックすると、ローダーを駆動するベルトが4本とも劣化していましたので、新しいものと交換しました。
同時にベルトが滑らないようプーリーを清掃、ローダーがそれに沿って動くスライドロッドとガイド部分も清掃した後にグリースを塗って仕上げました。
ドライヴメカを位置調整しながら再設置、各部清掃・点検の後、動作確認すると、ローディングは力強く滑らかに動作、CDの読み取りも遅延無く完了し、まずは良好な状態です。

LHH700 はドライヴメカにスイングアーム式ピックアップをもつPHILIPS のCDM-4 を積んでいますが、多くのPHILIPS メカが既に劣化で動作不可の状態となっている中では、比較的使用時間が少なかったのでしょう、まだちゃんと動いているので、これからもしばらくの間はお使い頂くことが出来そうです。
2016年05月08日
 
レコード好き誰もが認める英DECCA盤の音の良さに関して、そのひとつの裏付けとなる証言をご紹介させて頂きます。

音元出版の「analog」誌に載った内容ですからご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、長年キングレコードのエンジニアを務めた菊田俊雄氏に現役当時の話を聞く連載記事の中の一部です(一部抜粋):

キングレコードと英デッカとの原盤契約が成立したのが'53年だが、、それから長年にわたってクラシック曲に関してはメタル原盤(メタルマザー)しか渡されなかった。
メタルマザーからスタンパーを作るのだが、メタルマザーはスタンパーを何枚も作っているうちに壊れてしまう。そこでテープにして欲しいと頼むのだが、音質が変わってしまうからという理由でなかなか許可してくれなかった。
そこでキングでは度々、洋楽部からテストカットのためのテープを送って欲しいと交渉を重ねた結果、やっとマスターテープのコピーを送ってもらえることになった。

菊田 「マスターテープが到着した時、レコードがあんなにいい音なのだから、より原音に近いテープはさぞかし素晴らしい音が聴けるだろうと思ったのです。しかし、予想は完全に外れ、思っていたような美音ではなかった。レコードのほうがずっといい雰囲気の音なのです。」
菊田氏のかねてからの持論は「一番音がいいのはマスターテープではなく、きちんと仕上げられたレコード盤」というものだが、デッカのレコードはまさにこれを実証したことになる。

菊田 「デッカのクラシックは全体の周波数特性を大幅に変えるようなことはしていませんが、盤の再生状況を想定してカッティングの調整はしているようです。再生針先のトレーシングを考慮して、やたらに高域を伸ばすことで発生する害のある音を防止したり、位相特性や過渡特性など単なる周波数特性以外にも配慮されているようです。
ラッカー盤にカッティングする過程でも溝の切れ味や深さで聴感的には大きく変わりますが、特性の数値上には表れることはありません。つまり職人技の範疇となります。
デッカのレコードでも単に忠実にレンジを拡げるという方向ではなく、60~10kHz位までの音を重視してきちっと仕上がるように配慮されています。要するに音楽にとって最も大切な情報が、この帯域にちゃんと入っているのです。なかなかうまい音づくりだなと感心させられることが多いですね。」

そう伺うと英デッカはオリジナルのサウンドに対する思い入れが他のレコード会社より強いように思える。
菊田 「デッカから送られてくるマスターテープにはA面の頭に必ず40~16kHzまでの信号が細かく入っていて、この帯域がフラットになるように調整してカッティングすることになっていました。マスターテープを再生する場合、1本ずつテープレコーダーのヘッド・アジマスや位相を調整してからカッティングする必要があります。私の経験ではコピーテープにまで細かくリファレンス信号を入れていたのは英デッカ以外には見たことがありません。」
デッカ・オリジナルのサウンドを少しでも変質させてはならないというわけだ。
(以上、音元出版「analog」Vol.51、「レコードの奥義を極める」から)