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2020年8月
店主日誌:1
2020年08月10日
 

 

Soulnote P-3

昨日、神奈川県相模大野にあるソウルノート社主催の新製品ミニミニ試聴会に、お得意様2人と参加してきました。
1回が3人までということでミニミニとは言っていますが、4日間、各日2回(各1時間半)の開催ですので全体では結構な規模。これを同社の開発・設計責任者の加藤秀樹氏がひとりで担当するのですから、ご本人にとってはかなりハードです。
今の時期、たくさん集まって試聴会、というのが出来ないための苦肉の策ですが、本当に久しぶりの試聴会となります(うちではいつも1人で聴いて頂くのが普通ですので、今までと変わらず試聴会を行っていますが)。

私たち3人は第2部、午後4時からの回で、試聴室に通されて早速開始です。
店主はもう何回もお邪魔しているお馴染みの試聴室(兼・音質検討室)ですが、お客様にとっては初めてですので、まず機材の説明から。
今回の目玉は発表したばかりの新しいプリアンプ P-3 で、まずはひと通りポイントを説明。設計者自身の解説ですから、カタログには無い開発秘話、ここでしか言えない話が聞きものです。

前半はこうした話題を散りばめながら、ひとつの音楽ソースを使って様々な実験を行いました。これがとても分かり易い。
かつて加藤さんはプリメインアンプがトータルで最も効率よく最適の設計が出来るので、当面はセパレートの開発は無い、と言っていましたが、前回大きな話題となったCD/SACD プレーヤー S-3 の開発での知見もあってブレークスルー、最上級シリーズではいよいよセパレートアンプを手掛けることとなりました。
でも敢えてプリアンプを開発するのなら、それを入れることでより高度な再生が達成されなければ意味が無いとのことで、最初の「実験」はまずプリメインのA-2(2台使ったデュアルモノ使用)で聴いて、その後、A-2 をパワーアンプとして使ってP-3 を接続、同じソフトを聴きました。
使用したソフト(Stereo Sound 誌のリファレンスレコーディング)の冒頭に「虫の音」が聞こえるのですが、ここを聴いただけでその差がはっきり分かります。
もうP-3 を入れないと聴けません(笑)

次が、グラウンド・セパーレーションの実験。
P-3 では左右チャンネルとコントロール系の3つの回路系において、それぞれのグラウンドを完全に分離しています。リアパネルにあるスイッチでそれを一緒に繋げることも出来るので、早速実験。
これもほぼ同じ効果が聴き取れました。リアのスイッチを入れることはないでしょう。

さてもうひとつ、これは加藤さんならではというか、普通のメーカーではまず却下という内容ですが、音質を頭打ちにしている原因を見つけると絶対に見過ごすことが出来ない加藤さん、何とかして製品として成り立たせながら音質を阻害する要因を取り除く工夫をします。
ACインレット(電源ケーブルを挿し込む受け口)に音の良さから大変高価なパーツを使うことになったのですが、なぜかこれを本体ボディにしっかり留めると音が死んでしまいます。
そこで苦心して本体筐体には留めずに巧妙な固定方法で解決。
まずそのまま聴いてから、特別にビスを使ってわざと筐体にインレットを固定して聴くと、あら不思議、これまた同じように平板な響きとなってしまいます。

同じようにディスクプレーヤーS-3 でも、ノンオーバーサンプリングとFIR オーバーサンプリングの音を聴き較べましたが、これもまた今まで試してきた実験と同じような差が感じられ、オーバーサンプリングでは音が平板に聴こえるのが興味深く感じられました。

不思議なことに、いずれの「実験」でも同じように音質が変化するので、加藤さんが裏で音質悪化スイッチを入り切りしているのでは?と思うほど(笑)でしたが、すっかり加藤ワールド体感コーナーを楽しませて頂きました。
加藤さん、百貨店の実演販売コーナーをやったらすごく売り上げるのでは、などと考えていました(これはもちろん感心しています)。

その後後半は、お客様2人がそれぞれお持ち下さったCDを片っ端から聴きまくり、ほとんどでぶったまげ、ソウルノートの実力にやられました。そうそう、試聴室リファレンスのスピーカー、PMC MB2-SE も最高のサウンドで応えてくれました。単なるモニタースピーカーに留まらない、素晴らしいスピーカーです。

気が付くと、大幅に終了予定時間を過ぎていました…。どの回も同じ状況なんだろうなあ。加藤さん、お疲れ様、ありがとうございました。