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店主日誌
折に触れての1枚 Occasional Listening(7)
2015年03月27日
 
SXL第1号、ケネス・オルウィン

 
今回は有名な盤です。
とくにDECCAラバーにはお馴染み、栄光のSXL第1号、チャイコフスキーの序曲「1812年」他。
ですが、ここではうちらしくちょっとひねって、国内キングレコードからSLC番号の第1号として発売されたSLC1001 (国内初版)を聴きました。
写真もそのLONDONレーベルのジャケット(英初版と共通)、裏は当時の米ロンドン盤に倣ったと思われる水色のブルーバックで、レコードはフラット盤です。

録音は’58年5月、ロンドンのキングズウェイ・ホールで、名人ケネス・ウィルキンソンによる収録。プロデューサーはマイケル・ウィリアムソンでジャケット解説も担当、この国内盤はその日本語訳を載せています。
ちなみに1812年の大砲音は大太鼓ではなく本物を録ってミックスされました。

さて、肝心の演奏で指揮を執るのはというと、ケネス・オルウィンという人。余程の通でない限り、どういった指揮者かを知る方は少ないでしょう。
かく言う私も名前を知っていた程度。1925年生まれでまだ存命、DECCAにはこれ以降録音を残しませんでしたが、英国音楽やライト・クラシック,映画音楽などに相当数のレコーディングがあります。
また長年に渡ってBBCラジオ番組で指揮と司会を担当したことで知られています。ちょうど我が国の黛敏郎のような存在でしょうか。
また’60年代に来日して読売日本交響楽団を振り、ホルストの惑星の日本初演を行ったそうです。

さて、では演奏は―これが実に素晴らしく、録音当時33才ですが黄金時代を誇っていたロンドン響を完全に掌握、自在にドライヴして胸のすく快演。
名手揃いの金管がスカッと響き渡り、ロシア風の豪快さにも不足せず、誠にツボを押さえた指揮ぶりと言えましょう。
単にデッカ・ステレオフォニック・サウンドを宣伝するだけのレコードではなく、録音はもちろん、演奏も特筆すべき内容であったことに改めて気付かされました。

このキングレコード・プレス盤は本家に負けない素晴らしい音質です。