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店主日誌:172
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2016年02月11日
 
 
 
今年初めての、久し振りの「カートリッジ会」実施となりました。第7回です。
というのは、自主開催メンバーの一人(と言っても全部で2人、+作業員の店主)が就活+大学卒論で忙しく、それどころでなかったというわけ。
が、どちらもようやく終結、ほっと一息、晴れて息抜きが出来ることとなり、早速、「祝!内定&卒業・カートリッジ会」開催の運びとなりました。

今回、先輩メンバーの方がお持ち下さったのは、これは懐かしいDAM(かつての第一家庭電器のオーディオ・メンバーズクラブ)の「マニアを追い越せ大作戦」チラシ・コレクション!(写真上)
10部近くあるでしょうか、すべて当時そのままの状態です。
なかを見ると、有るは有るは、SATIN, entre, FR, GRACE, STAX, Dynavector, Victor, TECHNICS, audio-technica, DENON, SONY, Aurex, SHURE, PICKERING, ADC, STANTON,GRADO, ELAC, ortofon, DECCA, AKG, B&O..などなど。いま改めて見ると宝の山への地図のようです。

今回聴いたカートリッジは、前回の音が耳を離れないというVictor MC-1 を皮切りに、Hifonic MC-R5, EMPIRE 1000Z, 2000Z, ADC TRX-2, PICKERING XV15/750E, DENON DL103SL。
会の試聴曲の定番となったD.ブルーベックのTAKE FIVE の他、今回はバロック音楽のJ.C.バッハ/ヴィオラ協奏曲でも聴き比べを行いました。
2016年02月04日
 

 
昨年2015年の映画興行収益と観客動員数が発表され、微増ではありますが前年を上回って、洋画に限って言えば前年比112%となかなかの結果だそうで、映画好きにとっては嬉しいところです。

思えば以前一時は、街の映画館が軒並み閉館、もはや映画館で映画を見る時代ではないのか、といった報道を度々目にし寂しい思いをしていましたが、これには映画をパッケージするソフトがVHSビデオテープからDVDに代わり、家庭でも格段に優れた画質,音声で観ることが出来るようになったこと、同時にDVDになってソフトの価格も数分の一になってレンタルばかりでなく購入のハードルもはるかに低くなったことなどが影響していました。

でも映画館は絶滅はしませんでした。
確かに駅前にある古い映画館はほとんど無くなりましたが、映画館側も時代に合った生き残りを始めます。今賑わっているシネマコンプレックス、所謂シネコンというやつです。上映室のサイズは小さくなりましたが、ひとつの映画館内に複数の上映室を設け、トータルで利益を稼ぐという方式です。
同時にドルビー社の新しい高音質マルチチャンネル・スピーカーシステムを導入し、音響効果も古い映画館とは比べものにならない進歩を果たしました。
新しくきれいになった館内は席も大きく、ドリンクホルダーも備えて隣の席との間隔もゆったり、前後で段差を設けて前の人の頭が邪魔にならない配慮もされて、格段に居心地が良くなったのも観客の呼び戻しに大きく貢献したでしょう。
しかも今はインターネットでチケット購入、席の指定も出来、簡単に、安心して映画館に向かえます。

但しチケットの値段は基本1,800円と決して安いとは言えないですが、それでも行ってみようかという気になるのは作品の魅力はもちろん、上記のような映画館側の努力によるところも大きいはずです。
つまり自宅とは違って特別な楽しみ方が出来るのであれば、その価値に対してお金を払っても構わないということでしょう。

映画館で観ることが、こうして新たな価値観を生むことになって、一時どうなるのかと思われた映画館にはまた再び賑わいが戻ってきているわけです。

そう考えているうちに、おや、ちょうど同じようなことが他にもあったな、と気が付きました。
そう、アナログ・レコードの人気復帰と状況が似ているのです。
レコードはかけるのは面倒だし、新譜で買おうとするとCDより高価、今では1曲単位で好きな曲だけダウンロードして購入することも出来ますから、便利・安価・気軽なことではCDやネットの敵ではありません。
それでもレコードを聴く人が増えているというのは、CDやネットで簡単・手軽なソフトが出揃ったところで、聴く側もその中身をすっかり把握し、それらに無い十分な満足・感動を得られるもの、つまりレコードに対してなら少し面倒でもお金を出してもいいかな、と考え始めたのでしょう。

これは制作する側でも同じ、一部、心あるアーティストはアナログ・レコードでも新譜を出しているのは、ご存じのとおり。

音楽も映画も、好きなものは大切に観・聴きしていきたいものですね。
2016年01月22日
 

 
昨年から楽しみにしていた、巨匠スクロヴァチェフスキーが読売日本交響楽団を振るブルックナーの交響曲第8番・特別演奏会を聴いてきました。

会場は池袋の東京芸術劇場。スクロヴァチェフスキーは今回、この木曜日と2日後の土曜日、2回のコンサートだけのために来日したようです。曲もブル8のみ、文字どおり特別演奏会です。

今日本ではとても人気のある指揮者ですので、よくご存じの方も多いと思いますが、ミスターSこと(名前が長く綴りも難しいので世界共通の通称となっています)スタニスラフ・スクロヴァチェフスキーは'23年ポーランドのリヴォフ(現在はウクライナ領)生まれといいますから、今年で何と92歳となる現役世界最長老。
戦後パリで学んだ元々作曲家でもあり(7才でオーケストラ曲を作曲!)、'58年のアメリカ・デビュー以降、とくにミネアポリス交響楽団(後にミネソタ管弦楽団)では20年近くに渡って音楽監督を務め、レコード・ファンにはステレオ初期のマーキュリー・レーベルでの活躍でお馴染みです。

読響では2007年~10年の間、第8代常任指揮者を務め、すでに互いに厚い信頼を寄せ合う関係が築かれています。
店主も現役指揮者の中で最も敬愛する一人ですので、読響やN響との演奏会を何回か聴いてきましたが、ここのところずっとサボっていて、実演で聴くのは多分10数年ぶりではないかと思います。

客席は満席(2日間ともチケット完売!)、開演前から尋常ならざる熱気に包まれています。
通常、有名曲とはいえ重たいブルックナー1曲のみのプログラムで平日夜のコンサート、これほど席が埋まるのはそうはないでしょう。

いよいよ聴衆の前に現れたミスターSは、店主にとっては久し振りだけに、前回の記憶にあるのと比べると腰が少し曲がり、脚が悪いため指揮台への歩みはゆっくりで心配になるほど。
にもかかわらず指揮台には休むためのスツールもなく、老巨匠の心意気を感じます。ブルックナーの8番は1曲で1時間半近くもかかる大曲で、普通の人でも神経を使いながら休みなく立ち通すのはかなりの苦痛です。
指揮台に上がり聴衆に向かってお辞儀する間の拍手は、明らかに並のコンサート終了後の拍手以上の盛大さ。皆の期待の大きさがうかがわれます。
タクトを取ってさっと身構えた瞬間、視線は鋭く、棒を振る動きはきびきびと別人のように変貌。座っているのが1階6列目右寄りと、かなり前の方の席のため、ミスターSの指揮の様子が横の方から表情までかなりはっきり見えます。

第1楽章の開始は思いのほかテンポがゆっくりで、足元を踏みしめて進むような、意志の力を感じる進行です。
ミスターSは通常、かなり速いテンポで決して緊張を崩すことなく、敢えて余計な感情移入を避けているようにさえ聞こえるインテンポで進めることが多く、それが店主には場合によって少々淡泊に、いささか面白みに欠けて聴こえることがありました。
でも恐らくこれは彼の作曲家としての側面がものを言っていると考えられ、楽譜に書いてあることが全て、即ち作曲家の言いたいことは全てそこにある、との思いがあるのではないでしょうか。

しかしこの日のブルックナーは少し様子が違っていて、その原典主義が根底にありながら、もっと想いを赤裸々に表わすように聴こえます。
これには彼がかつてインタビューで、「最近になっていよいよブルックナーを振ることは私にとって特別なものになっている。ブルックナーの音楽との真の一体感を感じる」といった趣旨を語っていたことを思い出していました。

音楽は進むごとに熱を帯び、響きは厚く意志がみなぎり、すでに巨大な姿を見せていますが、同時に細部まで見通しが利き、神経が行き届いて、全ての音が生きています。
これは第1楽章だけで優にひとつの交響曲を聴くほどの体験です。
終わり近く金管が咆哮する「死の告知」のすさまじいこと。思わず息が止まります。
20分に近いこの楽章も、あっという間に終わってしまいました。

タクトを休めることなくそのまま第2楽章、スケルツォに突入。
これは最後まで聴いた後に感じたのですが、第1と第2両楽章をひとつの動的な音楽として捉え、次の最も長大なアダージョが中間部、最後にまた動的な第4楽章がくる、という対比で全体を構築しているように思えました。
そのためでしょうか、ミスターSとしては意外にも、第2楽章も、その前の楽章から引き継いで比較的ゆっくりとしたテンポで進められました。
その昔、ハンス・クナッパーツブッシュの演奏でブルックナーの8番に開眼して以来、この曲を聴くと常にそのゆっくりしたテンポが頭の奥で鳴るのですが、それと較べても遜色無いくらい堂々とした歩みです。
但しそこはミスターS、気力がみなぎりアタックは明確なので決して重くはならず、かつ巨大さは第1楽章そのままです。

そして今回の白眉であったアダージョ。
この楽章に限って言えば、少なくとも今までこれ以上のものを聴いたことがありません。「至福」というのはこのようなものを言うのかもしれません。
満足に浸りながら、30分近いであろう長大な楽章も、あっという間に終わっていました。
思えばこの部分が全曲のクライマックス、頂点に設定されていたようです。

その意味では終楽章、フィナーレはダイナミックなエピローグといった趣。
たっぷり楽章の間を取った後、開始されたそれは打って変わって快速で、ブルックナー自身の「コサック兵を弦楽、軍楽隊をトランペットのファンファーレで表す」という言葉通りの勇壮この上ない演奏です。
それ以降も揺るぎない意志の強さを示すが如くテンポは守られますが、最後のコーダにきて初めて僅かにテンポを落とし、今までの楽章のモチーフが重なり合いながら次第に響きを増していき、「生の勝利」を高らかに歌い上げるに至って驚くべきダイナミクスの盛り上がりをみせ、圧倒的な音の大伽藍のうち、最後の「肯定」の三連符をもって全曲が閉じられました。

すさまじい拍手喝さいとブラヴォーの嵐が巻き起こったのは言うまでもありません。
鳴り止まぬ拍手に、一体何回ミスターSは舞台上に呼び戻されたでしょう。歩くのに難儀するので申し訳ないと皆思いながらも、惜しみない称賛を贈りたいという気持ちが勝っていました。
最後は聴衆総立ちで、楽団員が全て引き揚げた後に指揮者だけ2回も呼び戻されていました。
こんな光景を見たのは朝比奈のブルックナー以来でした。

一体これが92歳となる人間の生み出す音楽でしょうか?
演奏会チラシにある『究極のブルックナー/響け、奇跡の90分。その全ての瞬間が永遠の記憶と化す』という謳い文句が聴いた後ではちっとも大げさでないばかりか、なんともうまく言い表しているとさえ感じられたものです。

今回の名演(もうこう呼んでもよいでしょう)には実力を十二分に発揮して老巨匠に応えた読響の力によるところは大きく、特に厚い響きで全体を支えた金管群のうまさには脱帽です。
どのパートもとにかく弱いとか危なっかしいということが皆無で、いかに指揮者に対して全幅の信頼、というより尊敬をもって楽団員が一丸となっているかがひしひしと感じられる演奏会でした(これは指揮者が何回も拍手で呼び戻されている間に、彼が立ち上がってと促してもオーケストラが応じず、総員で地響きと思えるくらいの盛大なリスペクトが示されたことにもよく表れていました)。

店主にとって久々に忘れ得ぬコンサート体験がひとつ、加わったのは間違いありません。
2016年01月18日
 

(産経WESTから)
 
お客様から教えて頂いた産経ニュースの記事をご紹介:

(産経WEST、2016.1.5)
『音楽の購入方法がCDからデジタル配信に移りつつある昨今、アナログレコードが復活してきた。
そこで注目を集めているのがレコード針を作り続けて今年で半世紀の老舗、日本精機宝石工業(兵庫県新温泉町)だ。
日本海に面した小さな町の従業員約60人の小さメーカーが手掛けるレコード針は世界で高く評価されている。その陰には、レコードが衰退した後も新ジャンルの製品を開発して生き残るしたたかさと、「一人でも欲しい人がいる限り」と製造し続けたレコード針への愛があった。

日本精機宝石工業がレコード針を製造し始めたのは昭和41年。
社名の英語表記からJEWEL(宝石)とINDUSTRY(工業)の頭文字に、企業を意味するCOをつなげたブランド「JICO(ジコー)」で展開し、今では国内外の約30社の製品に対応する交換針2,200種類を製造している。

売り上げの9割以上を海外が占めている。豊富なラインアップで、すでに製造中止となっているレコード針にも対応したことで、ネットを通じ世界中に評判が広がったのだ。
仲川幸宏専務は「アフガニスタンなどからも注文がある。製品を送る際に地元郵便局でとても驚かれた」と明かす。
「JICO」の名声は世界でも知る人ぞ知る存在になり、発送先は約200の国・地域に及んでいる。

そんな世界から注文が寄せられるレコード針は、工程の多くが手作業だ。
工業用ダイヤモンドを仕込んだ針先は直径0.25ミリ、長さ0.6ミリのサイズだが、女性工員らがルーペなどを使いながら組み立てている。

同社の前身は、明治6年創業の縫い針工場だ。蓄音機用の針製造を経て、昭和41年にレコード針に参入した。
昭和40~50年代は「SWING(スウィング)」というブランド名で、レコード店のカウンターに置けば瞬く間に売れたという。

しかし、57年に日本でCDの生産が始まると状況が一変した。音楽メディアがCDに入れ替わるなか、レコード針を取り次ぐ商社が倒産し、レコードにかかわる業界が斜陽化していった。

ここで同社が活路を求めたのは、レコード衰退の原因ともなった宿敵、CDだった。
CDプレーヤーの構造を研究したところ、内部のピックアップレンズが汚れると読み込みエラーを起こすことに着目。平成2年、CDの盤面に小さなブラシを付け、レンズの汚れを落とす「レンズクリーナー」を開発した。
DVDプレーヤーにも応用できたため、息長く需要は衰えず、主力商品として経営を支えた。
さらにレコード針に使ってきた工業用ダイヤモンドを別製品に加工。歯科用のドリルバーなどを開発し、経営の多角化を進めてきた。

その間も販売が落ち込み続けたレコード針。それでも製造し続けたのは、レコードがCDに主役の座を奪われるなか、当時の仲川弘社長(故人)が「一人でも欲しい人がいるなら作り続けよう」と決断したからだった。
レコードで音楽を楽しむ習慣が根付いていた欧米への輸出が底支えとなり、なんとか売り上げは会社全体の数%を保っていた。

こうした時代の荒波を乗り越えた先に待っていたのが昨今の世界的なアナログレコードの復活だ。当然、レコード針の売り上げも増え、会社全体の売上高の25%を占めるまでに回復し、主力商品に返り咲いた。
国際的な音楽団体「IFPI」によると、ここ数年はアナログレコードの売上高は世界的に伸び、2014年の世界での売上高は前年比約55%増の約3億4700万ドル(約416億円)に達した。

仲川専務は「地道にものづくりを続けてきた。これからも流行には流されず、JICOのファンを増やしながら、文化としてのレコードの価値を高めていきたい」と力を込めた』
2016年01月09日
 
地元荻窪のライヴハウス、ヴェルヴェット・サンでライヴがあるということで、取引先のSさんの計らいでヒグチケイコさんのレコ発ライヴ(CD発売記念)「between dream and haze」を聴きに行ってきました。

初めて行くこのライヴハウスは店から歩いて10分ほど、うちの店の2倍ほどの広さでしょうか。ビル1階のコンクリート打ちっ放しの空間にベンチシートが並んで、立ち見も出るほど満員状態。

ヒグチケイコさんはアメリカを中心に演奏,音楽理論,発声法などを習得、ジャズの名門であるボストンのバークリー音楽大学でも学んでいます。
ヴォイストレーナーとしの活動も長く、実際に聴いてみて分かりましたが、通常の歌唱というより発声と言った方がしっくりきます。

ジャズ・ヴォーカルとの先入観で行ったので、唸ったり,叫んだり,呟いたりするパフォーマンスに始めは面食らいましたが、歌というより発声という楽器が他のプレーヤーたち(ギター,パーカッション,ベース)と混ざり合って音響としてうねるさまを聴いているうちにだんだん納得していました。

Sさんに「これも一応ジャズのうちなのでしょうか?」と訊くと、「もはやこうしたものはジャンルを超えて、特に何と限定出来るようなものではないでしょう」とのこと、半ば答えが分かっていたような質問と反省しましたが、強いて言うといつも聴いているジャンルのなかでは現代音楽、それも前衛音楽のように聴こえたのは、多くの部分が即興に委ねられているからかもしれません。
ヒグチケイコさんも言っていたように、CDと同じ曲をやったとしても結果違った曲になるのは当然なのです。
そうなるとCDにする意味があるのかどうか、疑問は残りますが、やはりアーティストとしては折に触れてマイルストーンを残しておかないと気が済まないのかもしれません。

そうそう、ヴォーカルとともに、ナカタニタツヤという人のドラムス&パーカッションは実に様々な楽器と奏法(弦でシンバルを弾くのもなかなか)によって多彩な音響を創出して大変楽しませてもらいました。

とにかく、久々のライヴ体験でした。
2015年12月23日
 
 
 
さて今年も年末恒例のリスニング、クリスマスの「くるみ割り人形」と、大晦日の「第9」の時期となりました。
手持ちのレコード(CDは除く)から選定しなくてはなりません。特にくるみ割りは選択肢がそう多くなく、すぐ一巡してしまいますから、そろそろ新たな演奏を加えなくてはなりません(とはいっても年1回ですので余裕はあります)。

さてまず今年の「くるみ割り人形」は、名匠ドラティが久しぶりにアムステルダム・コンセルトへボウ管を振って入れた2枚組の全曲盤。
彼はアム・コンとはステレオ初期に「新世界」を入れたのみでしたが、その後晩年になって数タイトルまとめて素晴らしい録音を残してくれました。そのうちの一組です。
持ち前の抜群のリズム感覚はバレエ音楽でも大きな強みを発揮してくれます。

年末の第9は久々にレコード棚から引っ張り出してきた1枚、いや2枚組。
マルケヴィッチ指揮ラムルー管弦楽団の演奏で、交響曲第1番とのカップリング、店主にとっては取って置きのアルバムです。

今年はどちらも2枚組、聴く時間が取れるかが少し心配ではあります。
2015年12月17日
 
店主も創刊から愛読している「analog」誌 (音元出版)が今号で創刊50号を迎えました。
早くからレコード再生のためのアナログ・オーディオに特化した誌面で地道にアナログ・ファンを掘り起こし、現在のアナログ・オーディオ人気に一役買ってきたことは間違いなく、店主もこれからも100号,200号と号を重ねていくことを願って止みません。

さてこの最新号が届いてきてみると、おや?、本誌より厚い箱のようなものを背負って分厚くなっています。
開けてみると生成り色のわりと地厚のレコード・バッグが入っていました。真ん中には赤でanalog のロゴとトーンアームのシルエットが入って、なかなかいい感じです。
付録としては気が効いていて、レコード好きには実用性も抜群。
いつもは立ち読みの方も今号はこのバッグ目当てに、たまには買ってみては?

店主おススメ!
2015年12月15日
 
 

今日夜、11時からのTV TOKYO「ワールド・ビジネス・サテライト WBS」でアナログ・レコード・ブームの話題が取り上げられていました。

こうしたニュースはすでに1,2年ほど前から度々取り上げられていて、私も数回見た覚えがあります。
一過性でないレコード・ブームの象徴として、渋谷のHMV で若い女性がレコードを購入する場面や、フル稼働する国内唯一のレコード・プレス工場、東洋化成(株)の工場内の様子などが紹介され、これらは今までの他の番組と同様で今更ながらの感がありますが、今回改めて取り上げたのは、大手レコード会社であるユニバーサルミュージックが音楽ソフトではなく初めてアナログ・プレーヤーを発売するため。

ユニバーサルミュージックは、デザイン家電の雄 amadana とのコラボレーションでプレーヤーを共同開発、初めてレコードをかける若い層をメイン・ターゲットとしています。
そのためamadana らしい木目ボディの洒落たデザインながら、価格が何と15,000円!(税別)
但し、フロント左右の大きめのフット部分に40mm スピーカーを仕込んだ一体型、今風のカジュアル電蓄です。
2015年12月11日
 


以前荻窪音楽祭でお世話になった作曲家の小松さんからお誘いを受けて、「モーツァルトとマリー・アントワネット」という演劇公演を、品川区荏原にあるスクエア荏原ホールへ観に行ってきました。

東京イボンヌというのは私は初めてでしたが、'07年に旗揚げ、俳優の演技,声楽家の歌唱,そして演奏家による生演奏を融合した「クラシック(音楽)・コメディ~【クラコメ】」というスタイルで好評を博している劇団で、例えば前回公演では、いしだ壱成をゲストに招き舞台「俺の兄貴はブラームス」を、それ以前は「酔いどれシューベルト」,「ショパンの馬鹿!別れの夜」,「イッヒリーベディッヒ~ベートーヴェンの愛した曲」,「無伴奏」など、ちょっと見てみたくなるような題名の作品が並んでいます。
小松さんはそこで音楽監督,編曲を担当されています。

今回は主役の二人、モーツァルトとマリー・アントワネット役にゲストで石井康太さん(俳優&コメディアン)と宮地真緒さん(NHK 朝の連続テレビ小説「まんてん」主役)を招いての公演です。

演劇の舞台を観るというのはン十年ぶり、期待と不安を胸に向かいましたが、まず驚いたのがほぼ満席状態なこと。
ゲストのファンも多かったのでしょうか、360席ほどの小ホールではありますが、平日木曜日のお昼12時からの演劇公演でこれほど入るものなのかと、認識を改めました。年齢層も若い人から年配までほぼまんべんなく入っています。

開演30分前には、ピアノを担当する小松さんと合奏アンサンブル,声楽メンバーらによるプレコンサートも開かれ、そこで小松さんの美しいオリジナル曲も披露されました。

劇の内容はモーツァルトとマリー・アントワネットにまつわる史実を取り入れ自由に構成、モーツァルトを神の子に仕立てて展開する荒唐無稽な物語。アマデウスの有名な父親レオポルドやパパ・ハイドンも重要な役柄を演じます。

普通の演劇とは大違いで音楽のほうにも俳優の演技と同じウェイトが与えられ、小さな室内楽団ほどのアンサンブルが常時舞台上に陣取り、俳優の演技と交互に、モーツァルトの器楽曲や、ゲストの声楽家ら(ソプラノとメゾソプラノ)が本格的なアリアを歌い上げます。
オペラはあまり得意ではない私もよく知るタイトルがいくつも現れて、楽しめました。

演技,コメディー,音楽,振り付けなどが一体となったハイブリッド演劇とも言うべき作品で、ゲスト2人のスタイルの差もあってシリアスとコミカル(コメディー)がまだ消化し切れていないきらいはあったものの、これだけ盛り沢山な内容をまとめた脚本家の力量は、これが記念すべき第10作目となることもあって、なかなかのものと感じました。

次は、第1回公演の演目ながら最も再演の希望の多い(実際に1回再演を実施)「無伴奏」だそうですので、ご興味のある方は注目を。
2015年11月30日
 
このところ様々な製品の修理が多くなっています。
 
かつての真空管プリの名機のひとつ、カウンターポイント SA5000 の修理が完了して今日納品です。

久しぶりに繋いで電源を入れたところ、パツッと音がしてそれっきりになってしまったそうです。
症状はかなり重く、1ヶ月以上の長期入院・療養となりました。

皆様も大切な愛機は常に構ってあげて下さいね。
2015年11月24日

今日は往年の名カートリッジ、DENON DL-103GL の修理・針交換が完了し、お客様に納品しました。
DL-103GL は今も生産が続く名機DL-103 の特別生産モデルで、'90年に2,000個限定で発売されました。
発電コイルに直径14ミクロンの純金極細線を採用していました。

今回はこのコイルを活かし、カンチレバーが折れていましたので接合修理、調整、各部清掃を行いました。
2015年11月11日
 
旧DECCA カートリッジの修理が出来上がってきました。
DECCA ffss Mk2 と2個のGrey です。
Mk2 はかなり年月が経ちますのでフルオーバーホールとなりましたが、Grey (Blue の特別選別モデル)のほうはどちらも状態が良く、サスペンションの交換、各部調整・清掃等で済みましたのでコストも抑えることが出来ました。

現在DECCA,Presence Audio カートリッジの修理,針交換はは全て英本国のPresence Audio社に送って修理しています。DECCA 時代の各モデルはすでにかなりの年月を経ていますので、一度メンテナンス、或いはリチップ(針交換)をお奨めします。
場合によっては現行のMaroon への買い替えのほうが結果的にお得な場合もあります。
2015年11月05日

ORACLE オラクルのDelphi 2 のモーターが回らなくなったということで修理をさせて頂きました。

このプレーヤーは本当に息の長いロングラン・モデルで、現在Delphi 6-2 となっていますから、Delphi 2 はすでにかなりの年月を経ています。
モーター自体に経年劣化で不具合の発生がありましたが、使用期間を考えると無理もないところです。
モーターの分解修理でスムーズに回るようになりました。

他にも独特のフローティング・サスペンションや搭載されているSME 3009 アームなど再調整し、特徴的なプッシュスイッチもへたりが出ていましたが、少し気を遣って使えば、まだまだ普通に使って頂くことが出来ます。
2015年10月14日
 
今日、日本ビクターの古いモノラル盤を聴きながらジャケット裏の解説を読んでいたら、下の隅のほうに何やら小さな四角に囲んで説明書きが載っているのに気が付きました。

表題は「グルーブ・ガード(Groove Guard)」。
オリジナル盤マニアの方なら既によくご存じの用語です。
そこに書いてある説明は、
「このLPはグルーブ・ガードになっています。グルーブ・ガードとは中央のレーベルの貼ってある部分と外周のヘリの部分とが厚くなっているものを言い、ビクターのLPは全部こういう形態をとっています。
これですと重ねて置いても溝の部分がすれ合うことがないので、音溝に傷がつくことがなく、いつも良い音で再生できます。」

縁が高くなっているので何となく勝手に、うっかり針が盤の外側に落ちるのを避けるため、などとも考えていましたが、改めてこう書かれてみると、成る程、その名のとおり「音溝を守る」ための方策なのですね。
そうは言っても、さすがに現在ではLPをはだかで重ねて置くひとはいないでしょうから、余り当初の目的は果たしていないわけです。

元々これはSP時代の名残と考えられ、SPは現在のようなジャケットなどには入っておらず、内袋のような薄い紙袋に入れただけで平気で積み重ねて保管されていました。
ジャケットらしきものに入るようになったLP初期のモノラル時代でも当初はレーベル面も縁も平らなフラット盤でしたから、新製品では音溝を守るグル―ヴ・ガードという新開発仕様が謳われていたわけです。
歴史のあるレコードは、やっぱり面白いですね。
2015年09月27日
 

 
初日の金曜日に、東京フォーラムで開催されている恒例の東京インターナショナルオーディオショウ行ってきました。
いつもは一人で気ままに行きたいところを目当てにぶらぶらするのですが、今年は学生時代からの友人の誘いを受け、初めて2人連れでの見学となりました。
いい年のおじさんが二人連れだってというのは、どこであっても傍から見るとうっとうしい以外の何物でもありませんが、気兼ねなく連れショウ出来る数少ない機会がこうしたオーディオショウでしょう。改めて見回してみるとそうしたペア(?)がちらほらと。

さてそんなわけで、今回は彼の次期主力戦闘機、いや次期主力パワーアンプの品定めも兼ねていますので、それらも網羅しなくてはなりません。いつもはそれ程注意して見ていないハイエンド・ソリッドステート・パワーアンプが中心ですが、魅力あるジャンルですのでこの機会にクローズアップして回ってみましょう。

どの階から行く?と訊くので、いつも通り上のほうから、まず6階。
最初に入ったのがエレベーター脇のフューレンコーディネート。
昨年はとんでもない規模のスピーカー、PIEGA のMaster Line Source がそびえ立っていましたが、今回は同じトップラインでも外観はずっと普通の(価格は普通ではありませんが)Master One が室内楽を大変優美に奏でていて、ピエガのイメージにピッタリでした。
その後、ソースがアナログレコードになって曲はドヴォルザークの交響曲第7番。何気なく取り出したこれが大変な貴重盤で、ルーマニアの名匠シルヴェストリの指揮するウィーン・フィル、ステレオ初期の白金レーベル・オリジナル盤です。
さすがにウィーン・フィルの弦のしなやかさが存分に再現されましたが、この指揮者独特の熱さは少しヒートダウンして進行、このスピーカーではやはり最新デジタル録音や飛び切りのハイレゾ音源などのほうが真価発揮となるようです。
同じピエガでも後ろのほうに控えていたClassic シリーズでも聴いてみたかった。
アンプ類は真空管アンプで評価の高いドイツOCTAVE。ピエガの持ち味を引き出しながらしっかりと自己も表現するアンプで、良い意味で真空管アンプらしくないところも優秀さを示す証。
友人の頭には真空管アンプはほとんどインプットされていないでしょうが、これは候補のひとつに入れてよいでしょう。

次に耳に留まったのが太陽インターナショナル・ブースのスピーカー、AVALON。
これは毎度のことで、店主お気に入りのスピーカーのひとつです。
デモソフト選択のうまさもあって幽玄とでも言いたくなる理想的な音場が立ち現れていました。
人混みで後ろからよく見えませんでしたが、鳴らしていたのはJEFF ROWLAND のアンプ類でしょう。相性は良好、冴えたサウンドを聴かせてくれました。

この階の反対側の端に大きなブースを構えるのはESOTERIC。ちょうど11時からTANNOY の本国担当者によるデモがあるということで、同社スピーカーをじっくりと聴いてみたいという同行者の希望です。
ステージ上に堂々たる威容を誇るのはトップモデルのKINGDOM ROYAL。真っ黒でしたから特注のカーボンブラック仕様です。
さすがに最上級機だけあり文句のつけようもないほど素晴らしい。ほとんどがロック,ポピュラー系ソースでしたが全くジャンルの別なくこなし、唯一クラシックのコープランド「市民のためのファンファーレ」は圧巻。金管の咆哮と大太鼓の連打を涼しい顔をして実演さながらのダイナミックレンジで聴かせるのには感心しました。
但し実使用においては広大なリスニングルーム(と一千万円超のポケットマネー)が必要でしょう。

1階降りて5階ではまずTRIODE。
昨年カナダのハイエンド・ターンテーブル、CRONOS の輸入を開始してからデモソースはほとんどがレコードに。今回の山崎氏による音出しにも一層力が入り、それに応えるかのようにSPENDOR の最上級機SP100R2 が飛び切りの鳴りっぷりを披露。とくに「We Are The World」は今さっき録音されたかのような鮮度感で鳴っていました。
そしてホットな朗報が。
まだ価格等も未定で参考出品ながら、伊GOLD NOTE 社のアナログ・プレーヤー輸入がほぼ決まっているそうで、実は店主もこのメーカーの日本上陸を心待ちにしていたので嬉しいニュースでした。
こちらは20万円台あたりからと、ずっと身近なラインナップも揃うそうですので、乞うご期待!

エレクトリではMAGICO をお馴染みのPASS アンプで。たまたま音出しはしていませんでしたが、ニューカマーの大きなS7 を展示。
今までのモデルに比べると馴染みのある丸みを帯びた形状ですが、フルメタル・ジャケットを纏うのに変わりはありません。
PASS のパワーアンプは有力候補でしょう。

ひとつ降って4階。
創業90周年を迎え絶好調のLUXMAN ブースは、予想してはいたものの扉を開いてビックリ。何とか部屋に入ることは出来ても扉の前にへばりついたまま一歩も動けません。注目の300B シングル・パワーアンプMQ-300 のお披露目があるはずですのでじっくり聴きたかったのですが、残念、そのまままずは退散。

隣はステラのブース、メインは皆さんよくご存じのエアフォース・ターンテーブルです。遂に100万円台に降りてきた3作目、エアフォース3 はまさにかつてのマイクロSX-8000 の生まれ変わりですね。
アンプではConstellation Audio のSTEREO1.0 も有力候補です。

隣りのロッキーインターナショナルでは、これまた新しいアナログ・プレーヤーのお披露目が。
ドイツのAcoustic Signature というターンテーブル専業メーカーで、スリムなプレーヤーから大型宇宙船のようなターンテーブルまで本国では12機種もの製品を揃えています。これは店主も全くのノーマークで今回のショウでは4,5台が並んでいましたが、いずれも初めてお目にかかる製品です。
一部を除いてまだ詳細は未定ですが、分かり次第私どもからもお伝えしていきたいと思います。

アーク・ジョイアのブースには同行者が最近導入したFranco Serblin のスピーカーによるデモがあるので立ち寄りました。
大きいほうのスピーカーKtema でDr.ファイキャルトのプレーヤーにレコードをかけてデモしていましたが、今年再びスターウォーズ新シリーズ始動ということで店主も一押し、メータ指揮ロス・フィルのスターウォーズ組曲、DECCA 録音盤が賑々しく始まりました。
見過ごされがちですが、この演奏はメータの中でもトップクラスの出来で、真のオーディオファイル盤です。
次にスピーカーを小さいほうのAccordo に入れ換えてギターのデュオがかかりましたが、これは雑誌などの評価通り本当に素晴らしい。名匠フランコ・セルブリン氏の生涯最後を飾るに相応しい作品であることを改めて確認。
またこの時かかったレコードが余りに良かったので、すぐに入手しました: パット・メセニー&チャーリー・ヘイデン「Beyond The Missouri Sky」、2枚組LP

隣りのノア・ブースでは新世代Sonus faber のOLYNPICAⅢが期待通り、室内楽の妙なる調べをフレッシュな香りを添えて届けてくれました。
このシリーズは今の同社を代表するスピーカーといってよいでしょう。

予定があって5時には発たなくてはならないので、この時点でもうあまり時間がありません。最後に空中通路を渡ってヨシノトレーディングに向かいました。
連れは、そろそろ聞きたい評論家氏の話が始まるので行くというので、ここで別れることに。「雑誌にあのような文章を書く人物が、実際にどのような話をするのか、その人となりを見ておきたい」と研究熱心な彼らしい動機です。

ヨシノトレーディングには今回初のお目見えという製品はありません。とにかくEAR にしろ、Nottingham にしろ、Clearaudio にしろ、製品寿命が長いので新製品が出るなんてたまにしかありません。なかでもEAR などは、「他に何か新しいものが要るの?」と訊き返されそうです。
そんなこともあって今回は「アナログの伝道師」、同社の壁谷氏の話には一段と拍車がかかり、一切自社の製品に関して触れることはありません。それでもボスの芳野さんは何も言わずにニコニコ。
毎度のことながらここではアナログ・ソース、つまりレコードしかかかりません。プレーヤーはそれぞれのトップモデル、Nottingham DECO とClearaudio Masterinnovation + TT3。
そしてその脇にさり気なく置かれているのが、ステューダーの2トラック1インチ(!)のプロ用アナログテープレコーダー。まずお目にかかることのない代物だそうで、国内のレコーディング・スタジオで稼働中のものをたまたまティム(デ・パラヴィチーニ)がメンテナンスする機会があり、それをきっかけにショウのために借用しての特別出品とのこと。後から考えると、これが今回の主役でした。こんなものが出てくるのもこのブース以外考えられません。
たまたま提供者であるエンジニア氏が居合わせたので、すぐにその場で彼とティムの即席トークセッションが壁谷さんの司会で始まりました。
お話はもちろんですが、それでは回してみるからちょっと聴いてみて、とティムがプレイボタンを押したとたん出てきた音に唖然。
ほとんど等身大のライヴが目の前で行われているかの錯覚に陥りました。
なるほど、これがアナログの究極ともいわれるスタジオレベルのテープサウンドね。まあ、ほとんどマスターテープを聴いているようなものだから当然ともいえるのですが、その有無を言わせぬ音の噴出に身を任せるほかありませんでした。
うーん、これは最後にヤバいものを聴いちまった、と逃げるように会場を後にしたのでした..。
2015年09月11日
 
 

 
昨日、久し振りにTV東京の「和風総本家」(毎週木曜9時~)を観ていたら再現ドラマ風な映像が流れ、そしてナレーション、

「明治の終わりごろ“望”(のぞむ)は丁稚奉公に出ていた文具店の近くに出来た楽器店の楽器に触れて感動、楽器製造の仕事に就きましたが、関東大震災で工場は消失してしまいます。
今度はその頃興味をもったラジオ製造会社に入りラジオ組立てコンクールで1位を取るほどの腕前を発揮..」

とここら辺まで来た時に、名前が特徴的だったこともあり、おや、この望というのはパイオニア創業者の松本望氏のことだな、とピンときました。
その後、物語は、

「勤めていたラジオ工場は今度は世界恐慌のあおりで倒産。ラジオ製造会社時代の得意先で初めて接した米フィルコ社(PHILCO)の電気蓄音機に感銘を受けたのを機に、その電蓄で使われていたダイナミック・スピーカーを自ら作ろうと決意、出資を集めて会社を立ち上げました(福音商会電機製作所)。
そして苦心の末、国産初となるダイナミック・スピーカーを発売、そこに刻まれた銘が“パイオニア”でした。
彼の名は松本望、現在のパイオニアの創始者です」

楽器店の楽器に感動したのに始まり、ラジオ,電蓄,スピーカーと、やはり彼は「音響」に魅入られたオーディオの大先達だったのですね。
2015年09月03日
 

 
恒例のカートリッジ会、第6回が行われました。

今回の目玉は日本ビクターVictor MC-1、伝説の「ダイレクトカップリング」MCカートリッジです。
針先のごく近くにIC製造技術を生かした極小コイルを配して、まさにダイレクトに音溝の振幅をピックアップしようという構造です。針先はもちろん自社開発のシバタ針です。
ただ大変デリケートなため、破損し易かったり、長年の湿気でコイルがダメになったりと、現在良好な状態で残るものはそう多くないといわれます。
メンバー所有の個体は状態良好、貴重です。
MC-1 がこの方式の初代で、改良型のMC-10L (Laboratory シリーズのL)、そして最高峰のMC-L1000 へと進化しました。

最初にこのMC-1 を聴きました。
予想通り、いや予想以上に鮮烈、ハイスピードで解像度が高く色彩感が鮮明に描かれるので明るい音に感じます。まさに現代最先端のカートリッジと同じベクトルを有していることを確認、時代を先取りした名機であったことが分かります。MC-L1000 となると一体どうなるのでしょう?

特許がらみもあるでしょうが、肝心のビクターがとっくにカートリッジ作りを止めてしまった今、現在の技術でアップデートされたダイレクトカップリング・MCカートリッジを聴きたいと思うのは私だけではないはずです。
2015年08月25日
 

 
かねてから先方にもお願いしていたのですが、用事が出来たのを機に、今日は横浜市都筑区のフェーズメーションに行ってきました。

フェーズメーションは母体である協同電子エンジニアリング(株)のオーディオブランドです。
協同電子エンジニアリングは当時アイワ(株)に勤務していた鈴木信行氏(現会長)が'70年に設立、当初磁気記録関連の計測機器の製造・販売からスタートしました。
オーディオ関連を含む技術開発,OEMを重ね、現在は得意のナビゲーション技術などをもとに自動運転など車載機器を中心とした開発を手掛ける技術集団です。

'02年に鈴木氏の長年の夢であった自社ハイエンドオーディオ・ブランドとしてPhasemation フェーズメーション(当初はPhasetech)を立ち上げました。
最初の製品、P-1 MCカートリッジから現在まで、独自技術をふんだんに使ってユニークな視点で妥協のない製品をひとつひとつ送り出してきました。
その根底には常に鈴木氏のオーディオに対する信念と情熱、そして音楽への愛があるのです。
ちょっとオーバーかもしれませんが、本田宗一郎の頃のホンダに通じる思いがします。

何だか会社紹介のようになりましたが、私自身もその開発姿勢,モノづくりに大きな共感を覚え、また日本ビクターに勤めていた頃の先輩方が複数いることもあって応援を惜しみません。

さてフェーズメーションにうかがうのは初めて。久しぶりにお会いした同社技術担当の斉藤氏に試聴室でいろいろ聴かせて頂きながら、製品づくりについてうかがい、音楽談義にも熱が入りました。
斉藤氏は同社のアンプ類のほとんどを手掛けるヴェテラン設計者であり、設計のモットー、そして海外駐在経験、とくにドイツでの音楽体験譚はため息の出るようなお話を聞くことが出来ました。

何よりもまず音楽ありきで、それを楽しむためのオーディオづくり、という当たり前ではあるものの、単なる設計屋と優れたアンプ設計者との大きな違いの一端はそこにもあると感じた次第。

試聴のほうは、トップ・モデルのPP-1000 MCカートリッジ,EA-1000 フォノステージ・アンプ,CA-1000 真空管プリアンプ,MA-1000 真空管モノブロック・パワーアンプを使って悪いはずはありません。
とくにパワーアンプは片ch2台(計4台)を使ってJBL Project EVEREST DD65000 をバイアンプ駆動しているので、何のストレスもなく音が沸き上がってきます。1台が10Wのアンプですが、そんなことを全く感じさせない頼もしさです。

なかでもアンドレ・プレヴィンが最も乗っていた頃、ロンドン響とEMI に入れたショスタコーヴィチの8番,チョン・キョンファ(蘭DECCA)とアッカルド(日PHILIPS)によるブルッフの協奏曲の聴き比べ、そして森山良子の「中央線あたり」ではわが地元の匂いを楽しませて頂きました。
2015年08月13日
 


今週1週間は家内と子供が外出していて一人で過ごしています。

そんなのは何年振り、いや十数年振り?なので、久し振りにかつて独身時代、真夏の夜の暑さ払いに行なっていた「深夜のホラー&スプラッター映画祭」の開催を決定!

毎晩必ず1本の上映を心掛け、映画の究極表現の可能性を考察する、ではなくて、単に好きだから。一人の時でないと観られませんし。
というわけで、久し振りにTSUTAYA さんのホラー・コーナーへ。何かこのコーナーで一生懸命探しているとちょっと気恥ずかしい感も。主だったものは数十年の間にほぼ観てしまったし、新しいのはまず失敗するので余程厳選しないと後で約2時間の無駄になります。
それでも何とか今日まで新旧取り混ぜて毎晩5本ちゃんと連続上映しています。今夜の分も先ほどちゃんと借りてきました(有名ホラー作家の作品なのでまず失敗はないでしょう)。

何を観たかって? それを言うと人格を疑われそうですので内緒にしておきましょう(上の写真はそのうちの1本のポスター。これは正統派)。
一応は未見の中から観る価値のありそうなタイトルを厳選しているつもりで、これまでの5本中で完全な失敗と認めざるを得ないものは1本だけと、このジャンルではかなりの高打率です。

ところで、新旧取り混ぜてと申しましたが、「旧」というのは大体'60年代後半中心に'70年代あたり、「新」は今世紀に入ってから最新作までといえますが、ふと気がついたのが、音楽と同じ、つまりアナログ・レコードとCDの関係にとてもよく似ているのです。

旧は光学フィルム撮影、新はデジタル・ビデオ撮影で、高解像度できれいな後者は鮮明な画面なのですが、それだけにすべて見えてしまって、ホラーに必須の想像力を掻き立てられないのです。
それに対してフィルム画像は陰影に富み、曖昧模糊としたところがいかにもホラー・フィルムらしく、加えてデジタル撮影のようにCGで簡単にすごい場面を作ることが出来ない代わりに、ストーリーや撮影の仕方を工夫して恐怖を演出しているのが分かります。
これがアナログ・レコード好きの店主には好ましく、残り2本はやはり旧作からのチョイスとなりそうです。

えっ?そんな暇があったらブルックナー連続演奏会でもやれって? ごもっとも!
2015年07月09日



あのSF映画の金字塔「2001年 宇宙の旅」の、フルオーケストラの演奏を伴った特別上映コンサートが行われます。
余りにも有名な冒頭の「ツァラトゥストラはかく語りき」から始まり、クライマックスのリゲティでは合唱も加わって、すべてのサウンドトラックがオーケストラの生演奏で再現されます。

かつて同様の試みはアベル・ガンスの「ナポレオン」や、昨年の伊福部昭生誕100年記念上映の「ゴジラ」(オリジナル)等がありましたが、サイレント映画をクラシック音楽が伴奏するとも言えるこの映画がこの形式で上映されるのに期待が膨らみます。

ライブ・シネマコンサート「2001年 宇宙の旅」
11月25日(水)19時、26日(木)14時
Bunkamura オーチャードホール

指揮:ロバート・ジーグラー
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京混声合唱団

演奏曲目:
R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭
ハチャトゥリアン/「ガイーヌ」からアダージョ
J.シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」
リゲティ/「レクイエム」からキリエ/ ルクス・エテルナ(永遠の光)/ アトモスフィール
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