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2015年12月15日
 
 

今日夜、11時からのTV TOKYO「ワールド・ビジネス・サテライト WBS」でアナログ・レコード・ブームの話題が取り上げられていました。

こうしたニュースはすでに1,2年ほど前から度々取り上げられていて、私も数回見た覚えがあります。
一過性でないレコード・ブームの象徴として、渋谷のHMV で若い女性がレコードを購入する場面や、フル稼働する国内唯一のレコード・プレス工場、東洋化成(株)の工場内の様子などが紹介され、これらは今までの他の番組と同様で今更ながらの感がありますが、今回改めて取り上げたのは、大手レコード会社であるユニバーサルミュージックが音楽ソフトではなく初めてアナログ・プレーヤーを発売するため。

ユニバーサルミュージックは、デザイン家電の雄 amadana とのコラボレーションでプレーヤーを共同開発、初めてレコードをかける若い層をメイン・ターゲットとしています。
そのためamadana らしい木目ボディの洒落たデザインながら、価格が何と15,000円!(税別)
但し、フロント左右の大きめのフット部分に40mm スピーカーを仕込んだ一体型、今風のカジュアル電蓄です。
2015年12月11日
 


以前荻窪音楽祭でお世話になった作曲家の小松さんからお誘いを受けて、「モーツァルトとマリー・アントワネット」という演劇公演を、品川区荏原にあるスクエア荏原ホールへ観に行ってきました。

東京イボンヌというのは私は初めてでしたが、'07年に旗揚げ、俳優の演技,声楽家の歌唱,そして演奏家による生演奏を融合した「クラシック(音楽)・コメディ~【クラコメ】」というスタイルで好評を博している劇団で、例えば前回公演では、いしだ壱成をゲストに招き舞台「俺の兄貴はブラームス」を、それ以前は「酔いどれシューベルト」,「ショパンの馬鹿!別れの夜」,「イッヒリーベディッヒ~ベートーヴェンの愛した曲」,「無伴奏」など、ちょっと見てみたくなるような題名の作品が並んでいます。
小松さんはそこで音楽監督,編曲を担当されています。

今回は主役の二人、モーツァルトとマリー・アントワネット役にゲストで石井康太さん(俳優&コメディアン)と宮地真緒さん(NHK 朝の連続テレビ小説「まんてん」主役)を招いての公演です。

演劇の舞台を観るというのはン十年ぶり、期待と不安を胸に向かいましたが、まず驚いたのがほぼ満席状態なこと。
ゲストのファンも多かったのでしょうか、360席ほどの小ホールではありますが、平日木曜日のお昼12時からの演劇公演でこれほど入るものなのかと、認識を改めました。年齢層も若い人から年配までほぼまんべんなく入っています。

開演30分前には、ピアノを担当する小松さんと合奏アンサンブル,声楽メンバーらによるプレコンサートも開かれ、そこで小松さんの美しいオリジナル曲も披露されました。

劇の内容はモーツァルトとマリー・アントワネットにまつわる史実を取り入れ自由に構成、モーツァルトを神の子に仕立てて展開する荒唐無稽な物語。アマデウスの有名な父親レオポルドやパパ・ハイドンも重要な役柄を演じます。

普通の演劇とは大違いで音楽のほうにも俳優の演技と同じウェイトが与えられ、小さな室内楽団ほどのアンサンブルが常時舞台上に陣取り、俳優の演技と交互に、モーツァルトの器楽曲や、ゲストの声楽家ら(ソプラノとメゾソプラノ)が本格的なアリアを歌い上げます。
オペラはあまり得意ではない私もよく知るタイトルがいくつも現れて、楽しめました。

演技,コメディー,音楽,振り付けなどが一体となったハイブリッド演劇とも言うべき作品で、ゲスト2人のスタイルの差もあってシリアスとコミカル(コメディー)がまだ消化し切れていないきらいはあったものの、これだけ盛り沢山な内容をまとめた脚本家の力量は、これが記念すべき第10作目となることもあって、なかなかのものと感じました。

次は、第1回公演の演目ながら最も再演の希望の多い(実際に1回再演を実施)「無伴奏」だそうですので、ご興味のある方は注目を。
2015年11月30日
 
このところ様々な製品の修理が多くなっています。
 
かつての真空管プリの名機のひとつ、カウンターポイント SA5000 の修理が完了して今日納品です。

久しぶりに繋いで電源を入れたところ、パツッと音がしてそれっきりになってしまったそうです。
症状はかなり重く、1ヶ月以上の長期入院・療養となりました。

皆様も大切な愛機は常に構ってあげて下さいね。
2015年11月24日

今日は往年の名カートリッジ、DENON DL-103GL の修理・針交換が完了し、お客様に納品しました。
DL-103GL は今も生産が続く名機DL-103 の特別生産モデルで、'90年に2,000個限定で発売されました。
発電コイルに直径14ミクロンの純金極細線を採用していました。

今回はこのコイルを活かし、カンチレバーが折れていましたので接合修理、調整、各部清掃を行いました。
2015年11月11日
 
旧DECCA カートリッジの修理が出来上がってきました。
DECCA ffss Mk2 と2個のGrey です。
Mk2 はかなり年月が経ちますのでフルオーバーホールとなりましたが、Grey (Blue の特別選別モデル)のほうはどちらも状態が良く、サスペンションの交換、各部調整・清掃等で済みましたのでコストも抑えることが出来ました。

現在DECCA,Presence Audio カートリッジの修理,針交換はは全て英本国のPresence Audio社に送って修理しています。DECCA 時代の各モデルはすでにかなりの年月を経ていますので、一度メンテナンス、或いはリチップ(針交換)をお奨めします。
場合によっては現行のMaroon への買い替えのほうが結果的にお得な場合もあります。
2015年11月05日

ORACLE オラクルのDelphi 2 のモーターが回らなくなったということで修理をさせて頂きました。

このプレーヤーは本当に息の長いロングラン・モデルで、現在Delphi 6-2 となっていますから、Delphi 2 はすでにかなりの年月を経ています。
モーター自体に経年劣化で不具合の発生がありましたが、使用期間を考えると無理もないところです。
モーターの分解修理でスムーズに回るようになりました。

他にも独特のフローティング・サスペンションや搭載されているSME 3009 アームなど再調整し、特徴的なプッシュスイッチもへたりが出ていましたが、少し気を遣って使えば、まだまだ普通に使って頂くことが出来ます。
2015年10月14日
 
今日、日本ビクターの古いモノラル盤を聴きながらジャケット裏の解説を読んでいたら、下の隅のほうに何やら小さな四角に囲んで説明書きが載っているのに気が付きました。

表題は「グルーブ・ガード(Groove Guard)」。
オリジナル盤マニアの方なら既によくご存じの用語です。
そこに書いてある説明は、
「このLPはグルーブ・ガードになっています。グルーブ・ガードとは中央のレーベルの貼ってある部分と外周のヘリの部分とが厚くなっているものを言い、ビクターのLPは全部こういう形態をとっています。
これですと重ねて置いても溝の部分がすれ合うことがないので、音溝に傷がつくことがなく、いつも良い音で再生できます。」

縁が高くなっているので何となく勝手に、うっかり針が盤の外側に落ちるのを避けるため、などとも考えていましたが、改めてこう書かれてみると、成る程、その名のとおり「音溝を守る」ための方策なのですね。
そうは言っても、さすがに現在ではLPをはだかで重ねて置くひとはいないでしょうから、余り当初の目的は果たしていないわけです。

元々これはSP時代の名残と考えられ、SPは現在のようなジャケットなどには入っておらず、内袋のような薄い紙袋に入れただけで平気で積み重ねて保管されていました。
ジャケットらしきものに入るようになったLP初期のモノラル時代でも当初はレーベル面も縁も平らなフラット盤でしたから、新製品では音溝を守るグル―ヴ・ガードという新開発仕様が謳われていたわけです。
歴史のあるレコードは、やっぱり面白いですね。
2015年09月27日
 

 
初日の金曜日に、東京フォーラムで開催されている恒例の東京インターナショナルオーディオショウ行ってきました。
いつもは一人で気ままに行きたいところを目当てにぶらぶらするのですが、今年は学生時代からの友人の誘いを受け、初めて2人連れでの見学となりました。
いい年のおじさんが二人連れだってというのは、どこであっても傍から見るとうっとうしい以外の何物でもありませんが、気兼ねなく連れショウ出来る数少ない機会がこうしたオーディオショウでしょう。改めて見回してみるとそうしたペア(?)がちらほらと。

さてそんなわけで、今回は彼の次期主力戦闘機、いや次期主力パワーアンプの品定めも兼ねていますので、それらも網羅しなくてはなりません。いつもはそれ程注意して見ていないハイエンド・ソリッドステート・パワーアンプが中心ですが、魅力あるジャンルですのでこの機会にクローズアップして回ってみましょう。

どの階から行く?と訊くので、いつも通り上のほうから、まず6階。
最初に入ったのがエレベーター脇のフューレンコーディネート。
昨年はとんでもない規模のスピーカー、PIEGA のMaster Line Source がそびえ立っていましたが、今回は同じトップラインでも外観はずっと普通の(価格は普通ではありませんが)Master One が室内楽を大変優美に奏でていて、ピエガのイメージにピッタリでした。
その後、ソースがアナログレコードになって曲はドヴォルザークの交響曲第7番。何気なく取り出したこれが大変な貴重盤で、ルーマニアの名匠シルヴェストリの指揮するウィーン・フィル、ステレオ初期の白金レーベル・オリジナル盤です。
さすがにウィーン・フィルの弦のしなやかさが存分に再現されましたが、この指揮者独特の熱さは少しヒートダウンして進行、このスピーカーではやはり最新デジタル録音や飛び切りのハイレゾ音源などのほうが真価発揮となるようです。
同じピエガでも後ろのほうに控えていたClassic シリーズでも聴いてみたかった。
アンプ類は真空管アンプで評価の高いドイツOCTAVE。ピエガの持ち味を引き出しながらしっかりと自己も表現するアンプで、良い意味で真空管アンプらしくないところも優秀さを示す証。
友人の頭には真空管アンプはほとんどインプットされていないでしょうが、これは候補のひとつに入れてよいでしょう。

次に耳に留まったのが太陽インターナショナル・ブースのスピーカー、AVALON。
これは毎度のことで、店主お気に入りのスピーカーのひとつです。
デモソフト選択のうまさもあって幽玄とでも言いたくなる理想的な音場が立ち現れていました。
人混みで後ろからよく見えませんでしたが、鳴らしていたのはJEFF ROWLAND のアンプ類でしょう。相性は良好、冴えたサウンドを聴かせてくれました。

この階の反対側の端に大きなブースを構えるのはESOTERIC。ちょうど11時からTANNOY の本国担当者によるデモがあるということで、同社スピーカーをじっくりと聴いてみたいという同行者の希望です。
ステージ上に堂々たる威容を誇るのはトップモデルのKINGDOM ROYAL。真っ黒でしたから特注のカーボンブラック仕様です。
さすがに最上級機だけあり文句のつけようもないほど素晴らしい。ほとんどがロック,ポピュラー系ソースでしたが全くジャンルの別なくこなし、唯一クラシックのコープランド「市民のためのファンファーレ」は圧巻。金管の咆哮と大太鼓の連打を涼しい顔をして実演さながらのダイナミックレンジで聴かせるのには感心しました。
但し実使用においては広大なリスニングルーム(と一千万円超のポケットマネー)が必要でしょう。

1階降りて5階ではまずTRIODE。
昨年カナダのハイエンド・ターンテーブル、CRONOS の輸入を開始してからデモソースはほとんどがレコードに。今回の山崎氏による音出しにも一層力が入り、それに応えるかのようにSPENDOR の最上級機SP100R2 が飛び切りの鳴りっぷりを披露。とくに「We Are The World」は今さっき録音されたかのような鮮度感で鳴っていました。
そしてホットな朗報が。
まだ価格等も未定で参考出品ながら、伊GOLD NOTE 社のアナログ・プレーヤー輸入がほぼ決まっているそうで、実は店主もこのメーカーの日本上陸を心待ちにしていたので嬉しいニュースでした。
こちらは20万円台あたりからと、ずっと身近なラインナップも揃うそうですので、乞うご期待!

エレクトリではMAGICO をお馴染みのPASS アンプで。たまたま音出しはしていませんでしたが、ニューカマーの大きなS7 を展示。
今までのモデルに比べると馴染みのある丸みを帯びた形状ですが、フルメタル・ジャケットを纏うのに変わりはありません。
PASS のパワーアンプは有力候補でしょう。

ひとつ降って4階。
創業90周年を迎え絶好調のLUXMAN ブースは、予想してはいたものの扉を開いてビックリ。何とか部屋に入ることは出来ても扉の前にへばりついたまま一歩も動けません。注目の300B シングル・パワーアンプMQ-300 のお披露目があるはずですのでじっくり聴きたかったのですが、残念、そのまままずは退散。

隣はステラのブース、メインは皆さんよくご存じのエアフォース・ターンテーブルです。遂に100万円台に降りてきた3作目、エアフォース3 はまさにかつてのマイクロSX-8000 の生まれ変わりですね。
アンプではConstellation Audio のSTEREO1.0 も有力候補です。

隣りのロッキーインターナショナルでは、これまた新しいアナログ・プレーヤーのお披露目が。
ドイツのAcoustic Signature というターンテーブル専業メーカーで、スリムなプレーヤーから大型宇宙船のようなターンテーブルまで本国では12機種もの製品を揃えています。これは店主も全くのノーマークで今回のショウでは4,5台が並んでいましたが、いずれも初めてお目にかかる製品です。
一部を除いてまだ詳細は未定ですが、分かり次第私どもからもお伝えしていきたいと思います。

アーク・ジョイアのブースには同行者が最近導入したFranco Serblin のスピーカーによるデモがあるので立ち寄りました。
大きいほうのスピーカーKtema でDr.ファイキャルトのプレーヤーにレコードをかけてデモしていましたが、今年再びスターウォーズ新シリーズ始動ということで店主も一押し、メータ指揮ロス・フィルのスターウォーズ組曲、DECCA 録音盤が賑々しく始まりました。
見過ごされがちですが、この演奏はメータの中でもトップクラスの出来で、真のオーディオファイル盤です。
次にスピーカーを小さいほうのAccordo に入れ換えてギターのデュオがかかりましたが、これは雑誌などの評価通り本当に素晴らしい。名匠フランコ・セルブリン氏の生涯最後を飾るに相応しい作品であることを改めて確認。
またこの時かかったレコードが余りに良かったので、すぐに入手しました: パット・メセニー&チャーリー・ヘイデン「Beyond The Missouri Sky」、2枚組LP

隣りのノア・ブースでは新世代Sonus faber のOLYNPICAⅢが期待通り、室内楽の妙なる調べをフレッシュな香りを添えて届けてくれました。
このシリーズは今の同社を代表するスピーカーといってよいでしょう。

予定があって5時には発たなくてはならないので、この時点でもうあまり時間がありません。最後に空中通路を渡ってヨシノトレーディングに向かいました。
連れは、そろそろ聞きたい評論家氏の話が始まるので行くというので、ここで別れることに。「雑誌にあのような文章を書く人物が、実際にどのような話をするのか、その人となりを見ておきたい」と研究熱心な彼らしい動機です。

ヨシノトレーディングには今回初のお目見えという製品はありません。とにかくEAR にしろ、Nottingham にしろ、Clearaudio にしろ、製品寿命が長いので新製品が出るなんてたまにしかありません。なかでもEAR などは、「他に何か新しいものが要るの?」と訊き返されそうです。
そんなこともあって今回は「アナログの伝道師」、同社の壁谷氏の話には一段と拍車がかかり、一切自社の製品に関して触れることはありません。それでもボスの芳野さんは何も言わずにニコニコ。
毎度のことながらここではアナログ・ソース、つまりレコードしかかかりません。プレーヤーはそれぞれのトップモデル、Nottingham DECO とClearaudio Masterinnovation + TT3。
そしてその脇にさり気なく置かれているのが、ステューダーの2トラック1インチ(!)のプロ用アナログテープレコーダー。まずお目にかかることのない代物だそうで、国内のレコーディング・スタジオで稼働中のものをたまたまティム(デ・パラヴィチーニ)がメンテナンスする機会があり、それをきっかけにショウのために借用しての特別出品とのこと。後から考えると、これが今回の主役でした。こんなものが出てくるのもこのブース以外考えられません。
たまたま提供者であるエンジニア氏が居合わせたので、すぐにその場で彼とティムの即席トークセッションが壁谷さんの司会で始まりました。
お話はもちろんですが、それでは回してみるからちょっと聴いてみて、とティムがプレイボタンを押したとたん出てきた音に唖然。
ほとんど等身大のライヴが目の前で行われているかの錯覚に陥りました。
なるほど、これがアナログの究極ともいわれるスタジオレベルのテープサウンドね。まあ、ほとんどマスターテープを聴いているようなものだから当然ともいえるのですが、その有無を言わせぬ音の噴出に身を任せるほかありませんでした。
うーん、これは最後にヤバいものを聴いちまった、と逃げるように会場を後にしたのでした..。
2015年09月11日
 
 

 
昨日、久し振りにTV東京の「和風総本家」(毎週木曜9時~)を観ていたら再現ドラマ風な映像が流れ、そしてナレーション、

「明治の終わりごろ“望”(のぞむ)は丁稚奉公に出ていた文具店の近くに出来た楽器店の楽器に触れて感動、楽器製造の仕事に就きましたが、関東大震災で工場は消失してしまいます。
今度はその頃興味をもったラジオ製造会社に入りラジオ組立てコンクールで1位を取るほどの腕前を発揮..」

とここら辺まで来た時に、名前が特徴的だったこともあり、おや、この望というのはパイオニア創業者の松本望氏のことだな、とピンときました。
その後、物語は、

「勤めていたラジオ工場は今度は世界恐慌のあおりで倒産。ラジオ製造会社時代の得意先で初めて接した米フィルコ社(PHILCO)の電気蓄音機に感銘を受けたのを機に、その電蓄で使われていたダイナミック・スピーカーを自ら作ろうと決意、出資を集めて会社を立ち上げました(福音商会電機製作所)。
そして苦心の末、国産初となるダイナミック・スピーカーを発売、そこに刻まれた銘が“パイオニア”でした。
彼の名は松本望、現在のパイオニアの創始者です」

楽器店の楽器に感動したのに始まり、ラジオ,電蓄,スピーカーと、やはり彼は「音響」に魅入られたオーディオの大先達だったのですね。
2015年09月03日
 

 
恒例のカートリッジ会、第6回が行われました。

今回の目玉は日本ビクターVictor MC-1、伝説の「ダイレクトカップリング」MCカートリッジです。
針先のごく近くにIC製造技術を生かした極小コイルを配して、まさにダイレクトに音溝の振幅をピックアップしようという構造です。針先はもちろん自社開発のシバタ針です。
ただ大変デリケートなため、破損し易かったり、長年の湿気でコイルがダメになったりと、現在良好な状態で残るものはそう多くないといわれます。
メンバー所有の個体は状態良好、貴重です。
MC-1 がこの方式の初代で、改良型のMC-10L (Laboratory シリーズのL)、そして最高峰のMC-L1000 へと進化しました。

最初にこのMC-1 を聴きました。
予想通り、いや予想以上に鮮烈、ハイスピードで解像度が高く色彩感が鮮明に描かれるので明るい音に感じます。まさに現代最先端のカートリッジと同じベクトルを有していることを確認、時代を先取りした名機であったことが分かります。MC-L1000 となると一体どうなるのでしょう?

特許がらみもあるでしょうが、肝心のビクターがとっくにカートリッジ作りを止めてしまった今、現在の技術でアップデートされたダイレクトカップリング・MCカートリッジを聴きたいと思うのは私だけではないはずです。
2015年08月25日
 

 
かねてから先方にもお願いしていたのですが、用事が出来たのを機に、今日は横浜市都筑区のフェーズメーションに行ってきました。

フェーズメーションは母体である協同電子エンジニアリング(株)のオーディオブランドです。
協同電子エンジニアリングは当時アイワ(株)に勤務していた鈴木信行氏(現会長)が'70年に設立、当初磁気記録関連の計測機器の製造・販売からスタートしました。
オーディオ関連を含む技術開発,OEMを重ね、現在は得意のナビゲーション技術などをもとに自動運転など車載機器を中心とした開発を手掛ける技術集団です。

'02年に鈴木氏の長年の夢であった自社ハイエンドオーディオ・ブランドとしてPhasemation フェーズメーション(当初はPhasetech)を立ち上げました。
最初の製品、P-1 MCカートリッジから現在まで、独自技術をふんだんに使ってユニークな視点で妥協のない製品をひとつひとつ送り出してきました。
その根底には常に鈴木氏のオーディオに対する信念と情熱、そして音楽への愛があるのです。
ちょっとオーバーかもしれませんが、本田宗一郎の頃のホンダに通じる思いがします。

何だか会社紹介のようになりましたが、私自身もその開発姿勢,モノづくりに大きな共感を覚え、また日本ビクターに勤めていた頃の先輩方が複数いることもあって応援を惜しみません。

さてフェーズメーションにうかがうのは初めて。久しぶりにお会いした同社技術担当の斉藤氏に試聴室でいろいろ聴かせて頂きながら、製品づくりについてうかがい、音楽談義にも熱が入りました。
斉藤氏は同社のアンプ類のほとんどを手掛けるヴェテラン設計者であり、設計のモットー、そして海外駐在経験、とくにドイツでの音楽体験譚はため息の出るようなお話を聞くことが出来ました。

何よりもまず音楽ありきで、それを楽しむためのオーディオづくり、という当たり前ではあるものの、単なる設計屋と優れたアンプ設計者との大きな違いの一端はそこにもあると感じた次第。

試聴のほうは、トップ・モデルのPP-1000 MCカートリッジ,EA-1000 フォノステージ・アンプ,CA-1000 真空管プリアンプ,MA-1000 真空管モノブロック・パワーアンプを使って悪いはずはありません。
とくにパワーアンプは片ch2台(計4台)を使ってJBL Project EVEREST DD65000 をバイアンプ駆動しているので、何のストレスもなく音が沸き上がってきます。1台が10Wのアンプですが、そんなことを全く感じさせない頼もしさです。

なかでもアンドレ・プレヴィンが最も乗っていた頃、ロンドン響とEMI に入れたショスタコーヴィチの8番,チョン・キョンファ(蘭DECCA)とアッカルド(日PHILIPS)によるブルッフの協奏曲の聴き比べ、そして森山良子の「中央線あたり」ではわが地元の匂いを楽しませて頂きました。
2015年08月13日
 


今週1週間は家内と子供が外出していて一人で過ごしています。

そんなのは何年振り、いや十数年振り?なので、久し振りにかつて独身時代、真夏の夜の暑さ払いに行なっていた「深夜のホラー&スプラッター映画祭」の開催を決定!

毎晩必ず1本の上映を心掛け、映画の究極表現の可能性を考察する、ではなくて、単に好きだから。一人の時でないと観られませんし。
というわけで、久し振りにTSUTAYA さんのホラー・コーナーへ。何かこのコーナーで一生懸命探しているとちょっと気恥ずかしい感も。主だったものは数十年の間にほぼ観てしまったし、新しいのはまず失敗するので余程厳選しないと後で約2時間の無駄になります。
それでも何とか今日まで新旧取り混ぜて毎晩5本ちゃんと連続上映しています。今夜の分も先ほどちゃんと借りてきました(有名ホラー作家の作品なのでまず失敗はないでしょう)。

何を観たかって? それを言うと人格を疑われそうですので内緒にしておきましょう(上の写真はそのうちの1本のポスター。これは正統派)。
一応は未見の中から観る価値のありそうなタイトルを厳選しているつもりで、これまでの5本中で完全な失敗と認めざるを得ないものは1本だけと、このジャンルではかなりの高打率です。

ところで、新旧取り混ぜてと申しましたが、「旧」というのは大体'60年代後半中心に'70年代あたり、「新」は今世紀に入ってから最新作までといえますが、ふと気がついたのが、音楽と同じ、つまりアナログ・レコードとCDの関係にとてもよく似ているのです。

旧は光学フィルム撮影、新はデジタル・ビデオ撮影で、高解像度できれいな後者は鮮明な画面なのですが、それだけにすべて見えてしまって、ホラーに必須の想像力を掻き立てられないのです。
それに対してフィルム画像は陰影に富み、曖昧模糊としたところがいかにもホラー・フィルムらしく、加えてデジタル撮影のようにCGで簡単にすごい場面を作ることが出来ない代わりに、ストーリーや撮影の仕方を工夫して恐怖を演出しているのが分かります。
これがアナログ・レコード好きの店主には好ましく、残り2本はやはり旧作からのチョイスとなりそうです。

えっ?そんな暇があったらブルックナー連続演奏会でもやれって? ごもっとも!
2015年07月09日



あのSF映画の金字塔「2001年 宇宙の旅」の、フルオーケストラの演奏を伴った特別上映コンサートが行われます。
余りにも有名な冒頭の「ツァラトゥストラはかく語りき」から始まり、クライマックスのリゲティでは合唱も加わって、すべてのサウンドトラックがオーケストラの生演奏で再現されます。

かつて同様の試みはアベル・ガンスの「ナポレオン」や、昨年の伊福部昭生誕100年記念上映の「ゴジラ」(オリジナル)等がありましたが、サイレント映画をクラシック音楽が伴奏するとも言えるこの映画がこの形式で上映されるのに期待が膨らみます。

ライブ・シネマコンサート「2001年 宇宙の旅」
11月25日(水)19時、26日(木)14時
Bunkamura オーチャードホール

指揮:ロバート・ジーグラー
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:東京混声合唱団

演奏曲目:
R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭
ハチャトゥリアン/「ガイーヌ」からアダージョ
J.シュトラウス/ワルツ「美しく青きドナウ」
リゲティ/「レクイエム」からキリエ/ ルクス・エテルナ(永遠の光)/ アトモスフィール
2015年06月30日

 

“世界最小の本格オーディオ”の異名をもつMH audio は主宰する星野氏が長野の工房から生み出すミニマル・オーディオ。
私どもでも主力商品の超小型キューブスピーカー WAON two-tone を試聴展示しています。
忙しいなか、星野氏が今回もお立ち寄り下さいました。

当面、写真(ちょっと小さいですが)のようにWAON スピーカーとその専用スタンド、それを駆動するマイクロ・アンプDA-1 と組んで鳴らすことが出来るようになりましたので、どうぞ、興味半分でも聴きにいらして下さい。

DA-1 はライン入力ですので何でもいいのですが、当店の場合アナログ・プレーヤーとなるので、いつになくプレーヤーが巨大に見えてしまいます。
2枚目の写真はちょっと遊びでCrosley のポータブル電蓄を繋いで鳴らしているところ。
2015年06月13日
 

 
今回が初の開催となる話題の「アナログオーディオフェア2015」に行ってきました。

当店とぴったり内容が合うこともあって、とても期待していたのですが、初日の、始まってから1時間半ほど経った頃到着して開催フロアに入った途端、最近のオーディオショウ(ヘッドフォン関連は別にして)では感じられなかった熱気が伝わってきました。
明らかに人が多い。これはいけるぞ、と思って、まずは向かいの賑やかな部屋のドアを開けてみると、中は満員、人の頭ばかりで前方のデモの様子はほとんど見えません。これはダメと早々に退散。

フロア2階分に比較的コンパクトにまとまっているので、見られるところから順番に見ていこうと、5階から始めました。
以下、思いつくままに印象に残ったところを書いておきます。

まず入り口すぐに陣取ったハマダ電気は街の電気屋さんみたいな名前ですが、知る人ぞ知るかつてのGLANZ ブランドを継承するメーカーで、オール・ステンレス製の重量級ユニヴァーサル・アームを作っています。今回がショウ初参加。
新製品が2つ、従来モデルにDLC(Diamond-Like Cabon)処理を施し、メインウェイトにはタングステン柱を打ち込んだ上級機種と、逆にまったく新しい設計でGLANZ の主張を守りながら徹底的なコストダウンを図ったモデルです。
主宰する浜田氏に詳しくうかがい、DLCモデルを聴くと..ああー、聴かなければ良かった!?
これらはあとで製品紹介に載せていきますので、詳しくはそちらでご覧下さい。

熟練と創意で素子を使いこなすアンプ・メーカー、Aurorasound は、好評のVIDA フォノイコとHEADA ヘッドフォンアンプでレコードを聴くいつものスタイル。
いつ聴いても説得力あるサウンド。今回はVIDA にピアノブラック塗装の外装ヴァージョンが加わりました。
この後には、真空管アンプ群が完成に向けて開発が続けられています。
乞うご期待!

隣りのブースでは、いつものようにZYXCONISISProAcIKEDASAECなどが組んで抜群のチームワークを見せるデモ。

その向かいのブースは、これもショウでのいつもの名コンビ、AIR TIGHTMy Sonic Lab
エアータイトは10cmほどのフルレンジ・ユニット搭載のとても小さなスピーカー・システムで鳴らしていましたが、低域もそれ程不足無しにフルレンジらしいシームレスな音で、弦楽合奏は実に気持ちよく聴こえました。これは以前販売されていたMSM-1 に似たシステムのようでした。
カートリッジのマイソニックについては今さら言うまでもありません。

さて1階下がって4階は、エレベーターを降りて、まずすぐに聞こえてきた音を頼りに端の部屋まで辿り着くと、そこはSPEC のブース。
最近、突如、40cmもの砲金製プラッターを積んだ高級アナログ・プレーヤーを発売したメーカーです。
間近で実機を見ると、シングル(ロング)・アームにもかかわらずその大きさは最近のものからすると巨大! 中央で静かに回るプラッターは凄みすらあります。
フォノイコやアンプ類ももちろん同社のものですが、今回初めて聴いたフィンランド産のスピーカー、amphion はスマートな外観でいかにも北欧産といった出で立ちですが、アンプとの相性が良いのでしょう、朗々とオーケストラを歌い上げていて好印象でした。

その向かいは、ヨシノトレーディングのブース(上の小さな写真)。
ここはいつもデモでかけるソースがアナログ・レコード・オンリーですので、いつもとまったく変わりません。アナログ・プレーヤーと真空管アンプが取扱いの中心ですので、機器もいつもと変わりません。
そしてデモするのもいつもの「アナログの伝道師」こと、同社の壁谷氏ですので、これまたいつも通り。
今回はいつもよりクラシック音源に力が入っていて、アルゲリッチ&デュトワの名盤、チャイコフスキーの第1コンチェルト,アッカルドの弾く「悪魔の音楽」、そして名盤中の名盤、シュタルケルのバッハ・無伴奏など、矢継ぎ早に素晴らしい再生を聴かせてくれました。
ここでは、かけた曲は途中で終わらせず、必ず最後までかけます(チャイコのピアノ・コンチェルトでは第1楽章、約20分間!)。いかにも音楽好きの壁谷氏らしいところで、これは音を聴くデモではなく、音楽を聴いてもらいたいという思いがあってのことでしょう。
使用アナログ・プレーヤーは晴れの舞台に相応しく、普段なかなかお目に掛かれない、Clearaudio のInnovation+TT-2 とNottingham のDeco。

隣りのTRIODE では期待していた通り、カナダの新星、KRONOS の雄姿が。
自社のJUNONE とともにハイエンドの色濃い再生を披露。
ここもアナログオーディオフェアになくてはならないブースでしょう。

最後は期待の超新星、光電子カートリッジのDS AUDIO を表敬訪問。
最近発売となった上級システム、DS-W1 も国内外で大好評で、常に生産が追い付かない状況だそう。
ブースではVIENNA ACOUSTICSのスピーカーとPRIMARE のアンプとで鳴らしていましたが、とくに前者は今まで聴いた中でもベストフォームで聴くことが出来ました。

途中で何人かのお得意様にもお会いしました。こちらにもお越し下さって、ありがとうございます。

数がそう多くないのでそれ程時間はかからないだろう、うまくいけば早めに帰って店を開けられるかもしれない、等と考えていたのはまったく甘く、腕時計を見れば優に6時を過ぎていました。

来年も是非開催してもらいたいものです。
2015年06月12日
 

 
今回のダストカバー・ポリッシング&クリーニング作業は、DENON DP59L。
少しくすんで見えるのは若干スモークのかかったアクリルのためです。

ヒンジ金具もピカピカの輝きを取り戻しました。
2015年05月24日
 
毎回、好評のうちに(?)開かれている「カートリッジ会」、早くも5回目が開かかれました。同じ月のうちに2回の開催は初めてです。

毎回二人のお客様によって自主開催されているオフ会なのですが、今回は最初からちょっと違っていました。
まず、開店後比較的すぐにみえた(初めての)お客様がいるうちに、会のメンバーのお一人が来店、いつの間にか、先にいたお客様とオーディオ談義となり、オフ会のオフ会が自然発生的に始まりました。
そのうち最初のお客様がお帰りになり、会のもう一人のメンバーがご来店、ここで正規の会(?)のスタートとなりました。
それもそれ程経たないうちに、初めてのお客様がもうお一方ご来店。その方は以前からレコードを通販で数多く購入頂いている超お得意様と分かり、そのまま話の輪に加わって下さって、ゲストを加えた3人+店主での会となりました。
この方、東京での所用のついでに、わざわざ長崎からお越し下さいました。何とも有難いことではありませんか。

話が弾んで、いつものようにどんどんカートリッジを試聴していくスタイルとは違いましたが、今回はメンバーの方が最近入手したニートのモノラル・カートリッジ(前回聴いたものとは別)をいくつものモノラル盤で聴いてみることに。
上も下も出ていないカマボコ型にもかかわらず、その分サーフェイスノイズは大変静かで、レーヴェングート・カルテットのラヴェルの、何とも芳しいこと!
 

 
そのあと珍品カートリッジ・コーナー(店主の勝手な命名)ではORTHO オルト・ブランドのMMカートリッジ、ORT-1D が新品の状態で登場(上の写真)。
これは、針メーカーの弘和産業(現A'PIS)がかつて自社ブランドで発売したものだそうです。
価格からは考えられない、ウェルバランス・サウンドを聴かせてくれました。

その後、途中でもうお一方、初めてご来店のお客様がお越し下さり、狭い店内は満員状態。テーブル一面に拡げられた往年のカートリッジたちを懐かしくご覧になっていました。立ち話でゆっくりもして頂けず、失礼致しました。

さて次回開催は夏ごろかな、とのこと。
2015年05月02日
 

 
お客様自主開催の「カートリッジ会」、年明けの3回目に続いて早くも4回目の開催となりました。
いつものお2人、世代の大きく離れた同士ながら、話は驚くほどピッタリ合って、傍で見ている店主もいつも楽しく参加させてもらっています。やはりアナログ・オーディオへの愛のなせる業でしょう。

今回、出品カートリッジ数はさらに増えて、キャリングケース5個分+単品で40数個といったところでしょうか、壮観!
そのなかからリクエストに応えて、とっかえひっかえ付け替えてかけるのが私の役目です。プレーヤーは時代を合わせてYAMAHA GT-2000。

今回登場となったのは、順にSansui SV-45,Lustre L-1,MICRO VF-3200/e,SHURE M93E,JIMTEC V-Ⅲ,NEAT VC-3,ENTRE EC-15,audio-technica AT-VM3X,SONY XL-333E。普及型MMからMCまで、なかでもシュアのM93E はオートチェンジャーなどにも使われていたそうで、独特なマットな濃緑色凸凹塗装の外観もさることながら、ドカンとくる低音をベースにガッツのある音を聴かせてくれました。
NEAT VC-3 は初期のモノラル・カートリッジですが、今回はオーナー自ら修理してスタンバイ、見事素晴らしいワーグナーを奏でてくれました(ピエール・デルヴォー/パリ国立歌劇場管弦楽団の仏FALP盤)。

ちょっと一息コーナー(?)ではソノシート4枚組の新世界('60年製)をかけてみました(写真2)。1枚に1楽章を収録してあって、何だかSP気分。ソノシートを聴いたなんていうのは、一体何年前だったでしょう? TVの主題曲だったのは覚えています。
あれ、音が出ない?と思ったのは記録レベルが小さいから。厚手のビニールレコードに比べて薄いシート状で材質も柔らかいソノシートは溝が浅く、振幅も取れないためでしょう。

また、今回の参考出品はクリーナー編。
ピクソールのローリング・クリーナー,ワッツ Watts の円筒型クリーナー、そしてナショナルの電動型ハンディーレコード掃除機(写真3)! これは片手に収まる大変コンパクトなボディに電動回転式のローリングブラシと吸引機構を収め、乾電池で動作するクリーナー。今でも完璧に動きます。まるで今話題のクリーニングマシンのブラシ部分だけ外して持ってきたよう。この頃ならではのアイデアと情熱溢れる製品ではありませんか。

終わったころには外も暗くなり、あっという間に4時間が過ぎていました。
閉会時には早くも次回のスケジュールの打ち合わせが。また次が楽しみです。
2015年03月27日
 
SXL第1号、ケネス・オルウィン

 
今回は有名な盤です。
とくにDECCAラバーにはお馴染み、栄光のSXL第1号、チャイコフスキーの序曲「1812年」他。
ですが、ここではうちらしくちょっとひねって、国内キングレコードからSLC番号の第1号として発売されたSLC1001 (国内初版)を聴きました。
写真もそのLONDONレーベルのジャケット(英初版と共通)、裏は当時の米ロンドン盤に倣ったと思われる水色のブルーバックで、レコードはフラット盤です。

録音は’58年5月、ロンドンのキングズウェイ・ホールで、名人ケネス・ウィルキンソンによる収録。プロデューサーはマイケル・ウィリアムソンでジャケット解説も担当、この国内盤はその日本語訳を載せています。
ちなみに1812年の大砲音は大太鼓ではなく本物を録ってミックスされました。

さて、肝心の演奏で指揮を執るのはというと、ケネス・オルウィンという人。余程の通でない限り、どういった指揮者かを知る方は少ないでしょう。
かく言う私も名前を知っていた程度。1925年生まれでまだ存命、DECCAにはこれ以降録音を残しませんでしたが、英国音楽やライト・クラシック,映画音楽などに相当数のレコーディングがあります。
また長年に渡ってBBCラジオ番組で指揮と司会を担当したことで知られています。ちょうど我が国の黛敏郎のような存在でしょうか。
また’60年代に来日して読売日本交響楽団を振り、ホルストの惑星の日本初演を行ったそうです。

さて、では演奏は―これが実に素晴らしく、録音当時33才ですが黄金時代を誇っていたロンドン響を完全に掌握、自在にドライヴして胸のすく快演。
名手揃いの金管がスカッと響き渡り、ロシア風の豪快さにも不足せず、誠にツボを押さえた指揮ぶりと言えましょう。
単にデッカ・ステレオフォニック・サウンドを宣伝するだけのレコードではなく、録音はもちろん、演奏も特筆すべき内容であったことに改めて気付かされました。

このキングレコード・プレス盤は本家に負けない素晴らしい音質です。
2015年03月17日
 
このところ東京は確かに暖かくなってきました。三寒四温、温の四つ目が来たかな、と実感します。
今日など天気も良く、とくにポカポカ陽気で、寒がりの私でさえ初めて薄手の上着に着替えて店に出ました。
皆さまのところはいかがでしょうか?

もう少し暖かくなると、それ程暖房も必要無しにプレーヤーをはじめとするオーディオ機器にも最適な温度になりますから、気持ちよくレコードに針を落とせます。
エアコンともおさらば出来ますから静電気のパチパチに悩まされている方にとってもいいですね。でも反面、花粉症の方にはつらい時期でしょう。

遠方からお出で下さる方も増えてきました。本当に有難いことです。
このところは愛知や静岡県、そして長野からのお客様はこちらで用事のある際ごと足をお運び下さいます。
4月には都合が合えば長崎からお得意様がお見えになるご予定とのこと、素人コーヒーとレコードでお迎えです。
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